STAAD.Pro Help

TR.32.10.1.7 2002年版IS:1893(パート1)に従った応答スペクトル仕様

このコマンドは、2002年版IS:1893(パート1)に従ってRESPONSE SPECTRUM荷重を指定、適用して、動的解析を実行するために使用できます。

地震荷重ジェネレータは、X、Y、およびZ方向の横荷重を生成するために使用できます。

注記: この機能は、SET Z UPコマンドを使用して、Z軸が鉛直方向に設定されるケースに対しては適用されません

一般的な書式

次の書式のデータは、1行にすべて含めることも、2行または3行に分けることもできます。2行または3行に分ける場合は、それらの行の先頭にACCDOMINANTまたはSIGNコマンドを付ける必要があります。

SPECTRUM comb-method 1893 ( TORSION (DECCENTRICITY f8) (ECCENTRICITY f9) ) *{ X f1 | Y f2 | Z f3 } 
{ ACCELERATION | DISPLACEMENT } (SCALE f4) {DAMP f5CDAMP | MDAMP } (MISSING f6) (ZPA f7) (IGNNORE f13)
({ DOMINANT f10 | SIGN }) (SAVE) (IMR f11) (STARTCASE f12)

次のコマンド(SOIL TYPEパラメータまたは応答スペクトルデータのペア)は別の行に記述する必要があります。

{ SOIL TYPE f11 | *{ P1,V1; P2,V2; P3,V3;…PN,VN } }

次のコマンドを含める場合は、別の行に記述する必要があります。これは、オプションの柔層のチェックを実行するコマンドです。

( CHECK SOFT STORY )

次のコマンドを含める場合は、別の行に記述する必要があります。これは、層変形のチェックを実行するコマンドです。

( CHECK STORY DRIFT ) (RF f14)

指定項目:

表 1. 2002年版IS:1893(パート1)応答スペクトルに使用されるパラメータ
パラメータ 既定値 説明
DECCENTRICITY f8 ECC > 0の場合、DECのデフォルトは1.5

ECC < 0の場合、DECのデフォルトは1.0

(オプション)静的偏心(重心と剛心の間の偏心)から動的偏心を求める場合に乗算する係数。適用される荷重は重心に作用するため、静的偏心によって生じる固有のねじりの効果が解析で考慮されます。

注記: コードの条項7.8.2では、重心と剛心の間の動的偏心(静的偏心に動的増幅係数を乗算して計算)によって生じるねじりを不測のねじりとともに適用するように推奨されています。動的偏心は自動的に計算されますが、不測の偏心の量は設定することができます(設定しない場合のデフォルトは地震の方向における床の横寸法の5%です)。詳細については、「ねじりの設計方法」を参照してください。
ECCENTRICITY f9 0.05

不測の偏心の程度を示す係数。この係数は、いずれの建物に対しても0.05に指定されます。ただし、非常に不規則な建物の場合、この係数を0.10に増やすことができます。この係数は、設計の偏心を計算するために外部で提供されます。

不測の偏心は両側に作用する場合があるため、床レベルに作用する横方向力に伴う時計回りまたは反時計回りの不測のねじりのモーメントを考慮する必要があります。f9が正の値の場合は時計回りのねじり、負の値の場合は反時計回りのねじりを示します。

X f1, Y f2, Z f3 0.0 X、Y、およびZ方向に適用される入力スペクトル用の係数。任意の方向、すべての方向が入力可能です。指定されなかった方向は、デフォルトでゼロになります。
SCALE f4 1.0 スペクトルデータに掛ける線形スケール係数。通常は、gを長さ/秒2単位に因数分解するために使用します。この入力は、現在の単位系の重力による適切な加速度の値です(したがって、9.81 m/s2または32.2 ft/s2)。
DAMP f5 0.05
減衰比。減衰を無視するには、正確に0.0000011の値を指定してください。
  • CDAMPを指定した場合、材料減衰(およびバネ減衰(指定した場合))の値によって決定される合成減衰が使用されます。「 TR.26.2 メンバーとエレメントに対する定数の設定」を参照してください。
  • MDAMPを指定した場合、DEFINE DAMPING INFORMATIONコマンドで定義された方法を使用してモーダル減衰が計算されます。これは、入力ファイルに含める必要があります。「TR.26.4 モーダル減衰の情報」を参照してください。
MISSING f6  

"喪失質量"法を使用するためのパラメータ。モードにおいて表現されない質量の静的な効果を考慮します。 この喪失質量モード用のスペクトル加速度は、長さ/秒2で入力されたf6の値です(この値にはSCALEは乗算されません)。 

f6がゼロの場合は、ZPA f7周波数でのスペクトル加速度が使用されます。f7がゼロまたは入力されていない場合は、33Hzでのスペクトル加速度(ゼロ周期加速度、ZPA)が使用されます。 この計算結果は、モーダル組み合わせ結果のSRSSです。

注記: 任意のスペクトルケースで入力されたMISSINGパラメータは、すべてのスペクトルケースで使用されます。
ZPA f7 33 [Hz] MISSINGオプションでのみ使用するゼロ周期加速度値。入力されない場合、デフォルトの33Hzとなります。値は出力されますが、MISSING f6が入力された場合は使用されません。
IGNORE f13 0.009

(オプション)IS-1893のねじりに関する規定を考慮して除外するモードの有効質量(パーセント)。モデルによっては、有効質量を実質的に無視できるローカルモードやねじりモードが多数存在する場合があります。それらのモードを除外しても、最終的な解析結果が大きく変わることはありません。指定しない場合は、すべてのモードが考慮されます。何も指定されていない場合のデフォルト値は0.009%です。いずれかのスペクトルケースでIGNを入力すると、すべてのスペクトルケースに使用されます。

注記: f14の値が大きいと、解析結果が実際とは大きく異なる結果になることがあります。そのため、IGNOREコマンドを使用する際は注意が必要です。

MODE SELECTコマンドをIGNOREコマンドと一緒に指定した場合、MODE SELECTコマンドで除外したモードとIGNOREコマンドで除外したモードの両方が解析から除外されます。

DOMINANT f10 1(第1モード) 基本モード法。すべての結果の符号がモード番号f10のみが持つ符号と同じになります。モード番号f10が励起されると、スケール倍された結果が静的変位の結果として使用されます。値が入力されない場合は、モード1がデフォルトです。値0が入力されると、励起方向に最も大きな%寄与を持つモードが使用されます(1つだけの方向係数が非ゼロとなり得ます)。
注記: このオプションとともにSIGNパラメータを使用しないでください。各モードからのスペクトル応答を組み合わせるABSメソッドでは無視されます。
IMR f11 1 荷重ケースにコピーされる個別のモーダル応答(スケーリングモード)の数。デフォルトは1です。抽出された実際のモード数(NM)より大きい場合は、NMにリセットされます。モード1~f11が使用されます。喪失質量モードは出力されません。
STARTCASE f12 最大荷重ケース番号+1 IMRパラメータのモード1の主荷重ケース番号。デフォルトでは、これまでに使用された最大荷重ケース番号に1を加えた値になります。f12が以前のすべての荷重ケース番号より大きくない場合は、デフォルトが使用されます。モード2~NMの場合、荷重ケース番号は前のケース番号に1を加えた値になります。
SOIL TYPE f11  

地盤タイプ。時間周期、地盤タイプ、および減衰に依存して、平均応答加速度係数Sa/gが計算されます。

  • 1 = 岩盤または硬地盤
  • 2 = 中間硬地盤
  • 3 = 柔地盤
custom P1,V1; P2,V2; P3,V3; … Pn,Vn   データは入力の一部であり、"custom"応答スペクトルのスペクトルコマンドのすぐ後に続きます。周期 - 値のペア(セミコロンで区切る)を入力して、スペクトル曲線を記述します。周期は秒、対応する値は加速度単位(現在の長さ単位/秒2)で表されます。データがg加速度単位である場合は、スペクトルデータに掛ける係数は現在の長さ単位に対するgになります(9.81、386.4など)。
注記: SOIL TYPE f11の値を設定している場合は入力しないでください。
RF f14  

応答減少係数。指定しない場合、DEFINE 1893 LOADで定義されている係数が検索されます(「TR.31.2.10 IS:1893(パート1)2002年版およびパート4(2005年版)コード - 横方向地震荷重」を参照)。どちらも指定されていない場合は、係数1.0が想定されます。

応答減少係数は、指定した地盤動を構造に与えたときに弾性が維持される最大地震力の設計地震力に対する比率を表します。設計力を得るために、実際の地震力が係数RFで低減されます。

1893は、2002年版IS:1893(パート1)の手順に従った解析を示します。

comb-method = { SRSS | ABS | CQC | ASCE | TEN | CSM | GRP }は、各モードからの応答を組み合わせて全応答にする方法です。

注記: CQC、SRSS、およびCSMグループ化法は、2002年版IS:1893(パート1)により推奨されています。
SRSS
二乗法の総和の平方根。
ABS
絶対値の和。この方法は非常に安全側であり、最悪なケースの組合せを表します。
CQC
完全2次合成法(デフォルト)。この方法は、モードが近接する場合にSRSSの代わりとして推奨されます。
結果は次のように計算されます。
F=nmfnρnmfm
意味
ρnm
=
8ζ2(1+r)r2/3(1r2)2+4ζ2r(1+r)2
r
=
ωnm ≤ 1.0
注記: クロスモーダル係数配列は対称であり、すべての項が正です。
ASCE
NRC規制ガイド改訂第2版(2006年版)グプタ方式のモーダル組み合わせ、およびモードの剛性部分と周期的な部分が使用されます。矛盾が無い場合は、ASCE4-98の定義が使用されます。モードの周期的減衰部分の近接モード相互作用には、ASCE4-98式3.2-21(ローゼンブリュートの修正版)が使用されます。
TEN
近接するモード合成の10パーセント法。NRC規制ガイド1.92(改訂第1.2.2版、1976)。
CSM
2002年版IS:1893(パート1)の手順に従った近接法。
GRP
近接モードのグループ化方法。NRC規制ガイド1.92(改訂第1.2.1版、1976)。
TORSION
考慮する必要がある重心と剛心の間の偏心によって生じる(水平面における)ねじりモーメントを表します。詳細については、「ねじり」を参照してください。
注記: いずれかのスペクトルケースでTORSIONを入力すると、すべてのスペクトルケースに使用されます。

層レベルの横方向せん断は、全体座標系XおよびZ方向で計算されます。全体座標系Y方向の場合、ねじりの影響は考慮されません。

ACCELERATIONまたはDISPLACEMENT
加速度または変位スペクトルのどちらが入力されるかを示します。応答スペクトルデータの加速度と変位値の関係は次のとおりです。
変位 = 加速度 × ( 1 / ω ) 2
意味
ω
=
2π/周期(周期は秒単位、 ω はサイクル/秒)
DAMPMDAMP、およびCDAMP
減衰入力のソースを選択します。
  • DAMPは、f2の値をすべてのモードに使用することを示します。
  • MDAMPは、DEFINE DAMPコマンドが入力された場合、そのコマンドで入力され計算された値を使用し、それ以外はデフォルト値0.05を使用することを示します。
  • CDAMPは、各モードに対して計算された構造物の合成減衰を使用することを示します。異なる材料に対しては、CONSTANT設定の下で減衰を設定する必要があります。
SIGN
このオプションを指定すると、すべての結果に対して符号付きの値が作成されます。モードの正値の二乗和が、モードの負値の二乗和と比較されます。負値の方が大きい場合、結果に負の符号が与えられます。このコマンドは、ABSオプションでは無視されます。
注意: このオプションとともにDOMINANTパラメータを入力しないでください。
SAVE
このオプションにより、gとラジアン/秒2のジョイント加速度を含む加速度データファイル(モデルファイル名に拡張子.accが付いたファイル)が作成されます。これらのファイルはテキスト形式であり、任意のテキストエディタ(メモ帳など)で開いて表示できます。
CHECK SOFT STORY
柔層のチェックを実行することを示します。入力されない場合、柔層のチェックは行われません。詳細については、「TR.28.2.1 柔層のチェック」を参照してください。
CHECK STORY DRIFT
層変形のチェックを実行することを示します。
ヒント: これは、2002年版IS 1893の解析後の層変形のチェックに代わって行われます。

設計方法

各モードのそれぞれの床の設計横方向せん断力は、インドの2002年版IS:1893(パート1)の式7.8.4.5cと7.8.4.5dに従ってSTAAD.Proによって計算されます。

Qik = Ak⋅ϕik⋅Pk⋅Wk

および

V i k = Σ i = i + 1 n Q i k
注記:  上記の式の記号と表記はすべて、2002年版IS:1893(パート1)に準拠しています。

STAAD.Proは、次の方法を使用して横方向地震荷重を生成します。

  1. 入力スペクトル用の係数として、Z/2⋅I/Rの値を指定します。式Z/2⋅I/Rを計算し、その値をf1f2、およびf3の項を使用して指定します。これらの項の説明については、下記の表を参照してください。
  2. 初めの6つのモードまたは指定したモードの時間周期が計算されます。
  3. 各モードのSa/gが各モードの時間周期と減衰を使用して計算されます。
  4. 各モードの設計水平加速度スペクトルの値Akが計算されます。
  5. 各モードのモード関与係数が計算されます。
  6. 各モードのそれぞれの床におけるピークの横方向地震力が計算されます。
  7. 各モードに対するすべての応答量が計算されます。
  8. ピーク応答量が指定した方法(SRSS、CQC、ABS、CSM、またはTEN)に従って組み合わされて、最終的な結果が得られます。
注記: 垂直方向の運動(力がY方向に作用する場合)については、2002年版IS 1893コードの6.4.5に従って、水平方向の力の2/3の力にします。

個々のモード応答ケースの生成

個々のモード応答(IMR)ケースは、他のモードとの合成前は、そのモードがスペクトル解析ケースで持つ大きさのスケールを持つモード形状です。IMRパラメータを入力すると、STAAD.Proにより、この応答スペクトルケースの最初に指定された数のモードに対して荷重ケースが作成されます(つまり、5を指定すると、最初の5つのモードに1つずつで5つの荷重ケースが生成されます)。各ケースは、他の主荷重ケースと同様の形状で作成されます。

IMRケースの結果をGUIまたは印刷機能によって確認できます。このため、構造の各点の結果に対する各モードの重要度について評価することができます。おそらく、1つか2つのモードを使用して、1つの領域/床、およびその他の場所を設計することができます。

その後の荷重ケースは、TR.32.11 繰り返し荷重の設定スケールを変えたこれらのモード、静的活荷重、および死荷重を組み合わせて使用して、内部的に整合性のある符号を持つ結果を形成することができます(通常の応答スペクトルの解とは異なる)。モード作用荷重ベクトルは、ω2×質量×スケール倍されたモード形になります。反力は、剛性マトリックスにスケール倍されたモード形を掛けたものを作用荷重から引いたものになります。

繰り返し荷重機能により、モード作用荷重ベクトルを静的荷重と組み合わせて、P-デルタまたは引張りのみとともに静的に解析することができます。

注記: スペクトラムケース用にIMRオプションを入力する場合、そのような各スペクトルケースの後にTR.37 解析の設定 & TR.38 変更の設定を入力する必要があります。

IMR荷重ケース生成の詳細については、「TR.32.10.1.1応答スペクトル仕様 - カスタム」を参照してください。

注記

  1. 応答スペクトル法から計算される設計ベースせん断VBは、基礎時間周期に対する経験式から計算されるベースせん断Vbと比較されます。VBVbより小さい場合、すべての応答量にVb /VB(条項7.8.2の規定)が掛けられます。

    このためには、次の入力をいずれの主荷重ケースの定義よりも前に入力する必要があります。

    DEFINE  1893  LOAD
    ZONE f1 1893-spec 
    SELFWEIGHT
    JOINT WEIGHT
    joint-list   WEIGHT w 
    MEMBER  WEIGHT
    UNI   v1 v2 v3 
    mem-list 
    CON v4  v5 
    CHECK SOFT STORY
     
    1893-Spec  = {RF f2, I f3, SS f4, (ST f5), DM f6, (PX f7), (PZ f8), (DT f9)}

    このコマンド構造の詳細については、「TR.31.2.10 IS:1893(パート1)2002年版およびパート4(2005年版)コード - 横方向地震荷重」を参照してください。

    注記: STAAD.Proは、経験に基づいたベースせん断Vbの計算に必要な構造物の基本振動数を計算しません。そのため、DEFINE 1893 LOADデータのSTパラメータ、またはPXとPZパラメータを入力する必要があります。
  2. 次の内挿式が採用され、表3に与えられる減衰値を内挿します。

    あるモードに対する地表面応答加速度の内挿、外挿が行われ、応答スペクトル解析で使用される、モード減衰値に対応するスペクトルの縦座標が決定されます。この目的で使用される関係は、次のように定義されます。

    Sa = Ae + B/ξ

    意味
    Sa
    =
    スペクトル縦座標の値
    ξ
    =
    減衰比

    定数AとBは、特定の時間周期に対する減衰比ξ1とξ2にそれぞれ対応する2つの既知のスペクトルの縦座標Sa1とSa2を用いて決定され、次のようになります。

    A = S a 1 ξ 1 S a 2 ξ 2 ξ 1 e ξ 1 ξ 2 e ξ 2

    B = ξ 1 ξ 2 ( S a 2 e ξ 1 S a 1 e ξ 2 ) ξ 1 e ξ 1 ξ 2 e ξ 2

    指定項目:

    ξ1 < ξ < ξ2

  3. 条項7.11.1では、すべての層について、許容される層変形は層の高さの0.004倍までと規定されています。これをチェックするには、次のコマンドを解析コマンドの後に指定する必要があります。

    PRINT STOREY DRIFT 

    層変形がこの制限を超える場合は、警告メッセージが表示されます。

  4. 柔層(2002年版IS:1893の表5の定義による)が見つかった場合、警告メッセージが出力されます。

ねじり

IS 1893コードの条項7.9.2では、重心と剛心の間の動的偏心(静的偏心に動的増幅係数を乗算して計算)によって生じるねじりを不測のねじりとともに適用するように推奨されています。動的偏心は自動的に計算されますが(TORTOR OPPのどちらのオプションでも同様)、不測の偏心の量はECCオプションで設定することができます(設定しない場合のデフォルトは地震の方向における床の横寸法の5%です)。

非対称の建物やねじりが不均衡な建物は、横方向とねじりの連成運動により(つまり、建物の並進振動とねじり振動が弾性域内で連成されるため)、地震による被害を受けやすくなります。建物の横方向とねじりの振動の連成の度合いは大きくなることがあり、それによって横方向とねじりの連成が弾性解析による予測よりもはるかに大きくなる場合があります。

  • 2002年版IS 1893(パート1)の条項7.8.4.5は、平面構造が規則的な建物と名目上は不規則な建物に対して有効です。平面が不規則な建物については、ねじりによる連成振動を応答スペクトル解析で考慮する場合でも、動的偏心によるねじりを解析で考慮することをお勧めします。
  • 条項7.9.2に対する2005年1月の修正1の注記2に、3次元動的解析を行う場合は動的増幅係数1.5(条項7.9.2の規定)の代わりに1.0を使用できるという記載があります。この記述から、動的偏心と不測の偏心の両方によるねじりを応答スペクトル解析で考慮することで、あらゆるタイプの建物に条項7.9.2を適用するように推奨されていると考えられます。

ねじりの設計方法

2002年版IS 1893コードに従って、いずれの建物についても、重心と剛心の間の偏心によって生じる水平方向のねじりモーメントから得られる横方向力抵抗要素のせん断力が大きくなるように条件を設計します。

応答スペクトル解析では、すべての応答量(つまり、ジョイント変位、メンバー力、サポート反力、プレート応力など)が、解析で考慮される各振動モードに対して計算されます。各モードからのこれらの応答量は、モーダル組み合わせ方法(CQC、SRSS、ABS、TEN PERCENTなどによる)を使用して組み合わされ、特定の加速方向に対して単一の正の結果を生成します。この計算結果は、地震荷重時に発生する可能性が高い応答量の最大の大きさを表しています。実際の応答は、この最大計算量の負から正の値の範囲で変化することが予想されます。

地震荷重時にこの最大値がいつ発生するか、およびそのときの他の応答量の値がどうなるかについての情報は、応答スペクトル分析では提供されません。たとえば、2つのジョイントJ2とJ3があり、全体座標系X方向の最大ジョイント変位がそれぞれX1とX2であるとします。この場合、地震荷重時にジョイントJ1のX方向の変位が-X1から+X1に変化し、ジョイントJ2の変位が-X2から+X2に変化することが予想されます。ただし、これは必ずしもジョイントJ1のX変位がX1になる時点で、ジョイントJ2のX変位もX2になることを意味するものではありません。

上記の理由により、動的な偏心と不測の偏心(存在する場合)によって発生する各床のねじりモーメントは、モードごとに計算されます。このねじりからの横方向の層せん断が計算され、各モードの全体座標系荷重ベクトルが形成されます。この全体座標系荷重ベクトルを使用して静的解析が実行され、ねじりによる各モードの全体座標系ジョイント変位ベクトルが生成されます。各モードのねじりから得られたジョイント変位は、各モードの応答スペクトル分析から得られた全体座標系ジョイント変位ベクトルに代数的に追加されます。すべてのモードのねじりとともに応答スペクトルから得られる最終的なジョイント変位は、指定されたモーダル組み合わせ方法を使用して組み合わされ、最終的な最大ジョイント変位が得られます。以下のステップを参照してください。

ステップ

次のステップは、モードごとにねじり条件を含めるために実行します。

  1. 各床の横方向の層荷重が計算されます。2002年版IS 1893(パート1)の条項7.8.4.5cを参照してください。(Qik、床i、モードk)
  2. 各床で設計の偏心が計算されます。2002年版 IS 1893(パート1)の条項7.9.2および条項7.9.2に対する2005年1月の修正1の注記2を参照してください。

    設計の偏心度: edi = f15×esi + f12×bi、ただし、f15 = 1.0およびf12 = (±) 0.05

    指定項目:

    • esi = 床iの重心と剛心から生じる動的偏心(静的偏心に動的増幅係数1.0を乗算して応答スペクトル解析用に計算)
    • bi = 地震荷重方向の平面図寸法
  3. ねじりモーメントは床ごとに計算されます。(Mik = Qik × edi、床i、モードk
  4. ねじりモーメントに対応する横方向の節点力が床ごとに計算されます。これらの力は、ねじりによって加わる層せん断を表します。
  5. 構造の静的解析は、これらの節点力で実行されます。
  6. ねじりからの解析結果(つまり、メンバー力、ジョイント変位、サポート反力など)は、応答スペクトル解析から得られた対応するモード応答量に代数的に追加されます。

モーダル組み合わせ

ステップ1~6は、考慮されたすべてのモードおよび喪失質量補正(存在する場合)に対して実行されます。最後に、さまざまなモーダル応答からのピーク応答量が、CQCSRSSTEN PERCENTCSMなどの方法に従って組み合わせられます。

注記

解析が完了すると、次のファイルが生成されます。
  1. 各荷重ケースの各モードの層せん断についてのファイル(<filename>_RESP1893.txt
  2. 各床の回転剛性についてのファイル(<filename>_ROT1893.txt
  3. 各床レベルにおける重心、剛心、設計の偏心と各荷重ケースの各モードの各床レベルにおけるねじりによる追加のせん断についてのファイル(<filename>_TOR1893.txt

動的な偏心

静的偏心は通常、各床レベルの質量中心(CM)と剛心(CR)間の距離として定義されます。不測の偏心は通常、次のような係数を考慮します。
  • 垂直軸を中心にした地盤動の回転成分
  • 質量、剛性、または強度の計算値と実際値の差異
  • 不均一なライブ質量分布
建物のi番目の床の設計の偏心edi規定は、次の式によって求められます。

edi = DEC×esi + ECC×bi

意味
esi
=
i番目の床での静的偏心
bi
=
地盤動の方向に垂直なi番目の床の平面寸法
ECCおよびDEC
=
設計の偏心を決定するための係数。これらは入力パラメータです。
2002年版IS 1893の条項7.8.2で、次の2つの式が定義されています。

edi = 1.5×esi + 0.05×bi

edi = 1.0×esi - 0.05×bi

オプションのコマンドTORSIONを含めることで、最初の式がデフォルトで使用されます。2番目の式を考慮する場合は、DEC -0.05と指定します(ECCのデフォルトが1.0になります)。

この例の詳細については、「 V. IS 1893 2002 Response Spectrum」を参照してください。

LOAD 1 LOADTYPE None  TITLE RS_X
SPECTRUM SRSS 1893 X 0.036 ACC DAMP 0.05
SOIL TYPE 1