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TR.5 SETコマンドの設定

このコマンドにより、解析/設計の実行用に、さまざまな一般的な設定をセットすることができます。

一般的な書式

SET { NL i1 | {DISPLACEMENT i2 | PDELTA TOLERANCE i9} | SDAMP i3 | WARP i4 | ITERLIM i5 | PRINT i7 | NOPRINT DIRECT | SHEAR | ECHO { ON | OFF } | GUI i6 | { Z | Y } UP | DEFLECTION CUTOFF f1 | FLOOR LOAD TOLERANCE f2 | EIGEN METHOD { LANCZOS | RITZ} }

指定項目:

説明

次のSETコマンドには関連付けられた単位の値が含まれ、UNITコマンドの、かつ最初のJOINTの前に記述する必要があります。

表 1. よく使用する単位が必要なSETコマンド
コマンド パラメータ 説明
SET NL i1 SET NLコマンドは、解析を1回実行した後に主荷重ケースを追加する場合に、複数回の解析実行において使用されます。特に、CHANGEコマンド(「TR.38 変更の設定」を参照)を使用するこれらの例に対して、主荷重ケースを追加する場合、NL値はSET NLにより最大値(または最大値強)に設定される必要があります。プログラムは、後で追加される情報用に付加的なメモリ空間を確保することができます。このコマンドは、ジョイント、メンバー、荷重の設定以前に与えられる必要があります。

i1の値は主荷重ケース(NL)の最大数です。この値は、モデルで実際に使用される主荷重ケースの最大数以下である必要があります。

注記: プレートが与えられる場合は、SET NLの値にモデル内の主荷重と荷重の組み合わせの総数が含まれます。

SET DISPLACEMENT

i2 CONVERGEを伴うPDELTA ANALYSISに対しては、2つの収束判定法を選択できます(その他の詳細については、「TR.37.2 P-デルタ解析オプション」を参照してください)。
  1. SET DISPLACEMENT i2コマンドを使用して収束許容を設定します。2つの連続する反復におけるユークリッドノルムRMS変位が、入力された値よりも小さい場合、その荷重ケースは収束しています。このコマンドは、JOINT COORDINATEの設定の前に置く必要があります。デフォルトの許容値i2は、構造物の最大スパンを120で割った値に等しくなります。ユークリッドノルムの収束許容を知るのは困難であるため、このオプションの使用は推奨されません。
  2. SET PDELTA TOL i9コマンドは、この2番目の方法を選択します。デフォルトの許容値i9は、0.01インチです。2つの連続する反復過程における各自由度変位の変化の最大がftol未満の場合、その荷重ケースは収束しています。このコマンドは、JOINT COORDINATEの設定の前、かつUNITコマンドの後に置く必要があります。
注記: i2i9は、どちらもP-デルタ収束判定基準の入力です。SET DISPLACEMENT i2またはSET PDELTA TOL i9を入力する2つの方法があります。1つだけ入力します。
  • i2 = あるPDELTA反復とその次の変位ベクトルのユークリッドノルムの変化がこの収束許容値未満である場合、解析されるケースに対してその反復は収束したことになります。
  • i9 = あるPDELTA反復とその次の各自由度変位の絶対値変化の最大がこの収束許容値未満である場合、解析されるケースに対してその反復は収束したことになります。

PDELTA TOLERANCE

i9
SET DEFLECTION CUTOFF f1 スモールデルタ効果による弱軸方向の大規模な変位を抑えるために使用します。

f1 = 2回の反復後の最大断面変位の絶対値がf1未満であれば収束します。2回の反復の間は、弱軸の変位が急速に発散することはありません。f1は現在の長さの単位です。

SET FLOOR LOAD TOLERANCE f2

床荷重の平面外ノードの許容誤差を設定するために使用します。プログラムでは、すべてのノードが同一平面上にあるものと想定されます。ノードの座標に少しでも差異があると、それらのノードに接続された床パネルは除外されます。そのため、許容差値を使用して、すべてのノードの範囲(最小Yと最小Y + 許容差)を指定します。

注記: 傾斜した床パネルについては、床グループオプションを使用して別途定義します。

床荷重の平面の設定の詳細については、「TR.32.4.3 床荷重の設定」を参照してください。

f2 = 使用する許容差値

次のSETコマンドには無次元の入力が含まれます。

表 2. よく使用するその他のSETコマンド
コマンド パラメータ 説明
SET SDAMP i3 SET SDAMPコマンドにより、動的解の各モードに対するモード合成減衰の計算時に、ばねの減衰が考慮可能になります。このコマンドは、CONSTANTSコマンドにおけるメンバーとエレメントに対してCDAMP比も入力されない場合は使用されません。合成減衰は、動的解に多くのモードがあり、ばね、メンバー、エレメントの減衰比に広い領域がある場合にのみ一般的に使用されます。

i3 = 動的解析のモード合成減衰の計算においてすべてのばねに使用される減衰比

SET WARP i4 SET WARPコマンドにより、I断面部材において、ねじり剛性の計算時に、端部のそり拘束が考慮されます。全そり拘束、部分そり拘束、そり拘束なしが許容されます。
SET ITERLIM i5

SET ITERLIMコマンドは、引張/圧縮の最大反復の制限を、デフォルトの10よりも増やすためのものです。この反復手法は、必ずしも収束するとは限らないので、この反復制限を増やすオプションは、有効ではないかもしれず、注意して使用される必要があります。入力可能な最小の反復制限は、3です。最大数は150です。それよりも大きい値は150に置き換えられます。

引張/圧縮解析の後、出力ファイル(ファイル拡張子.ANL)の非収束の警告について調べる必要があります。収束しないケースの結果を使用しないでください。

i5 = 引張/圧縮反復の最大数

SET PRINT i7 次の値を使用して、特定の警告を抑制したり、追加の結果を出力に含めることができます。
  • 1 = 剛性ゼロのメッセージ、ソリッドによる回転剛性ゼロのメッセージ、および"Node not connected. OK if control/dependent"メッセージを省略します。
  • 2 = 存在しないリストのメンバーに関するメッセージを省略します。
  • 3 = 結合されていないジョイントに関するメッセージを省略します。
  • 5 = 床荷重に関するメッセージをオフにします。
  • 8 = 自重に関する警告を省略します。
  • 10 = Direct解析の反復に関する一部のメッセージをオンにします。
  • 17 = 質量のテキストファイルに回転質量を書き込みます(設定しない場合は並進質量のみが書き込まれます)。RSAのスケーリングされたモーダル結果、RSAの各床の力のデータの一部を出力します。

i7 = 一部の警告メッセージを抑制したり、追加の出力を含めるために使用します。

SET NOPRINT DIRECT (n/a) Direct解析の実行時に出力ファイルへのtau-bの詳細の出力をオフにするために使用します(「TR.37.5 Direct解析」を参照)。
SET SHEAR (n/a) SET SHEARコマンドは、はり部材の剛性を形成する際に、付加的な純せん断ゆがみ剛性の項を省略するためのものです。このコマンドにより、教科書にあるはり理論の結果と正確に一致させることができます。
SET ECHO (n/a) SET ECHO ONコマンドは、出力ファイル中の入力ファイルコマンドのエコーを有効にし、SET ECHO OFFコマンドは、エコーを無効にします。SET ECHOコマンドがない場合、入力ファイルコマンドは出力ファイルにエコーバックされます。
SET GUI i6 計算完了後の解析ウィンドウが閉じられる前に、プログラムはポスト処理モードで結果を表示するために複数のファイルを作成します。大きなモデルでは、この過程に時間がかかります。ユーザーの目的が出力ファイル(ファイル拡張子.ANL)のみの結果を見ることであり、ポスト処理モードに移行しないつもりならば、プログラムにこれらのファイルの作成を省略するように指示することができます。FINISHコマンドの直前、またはファイルの先頭付近のどこかのSTAAD SPACEの後にSET GUI 1を設定することができます。

i6 = 1、ポスト処理に必要なデータとファイルの形成をバイパス

SET { Z | Y } UP (n/a)

デフォルトでは、Y-軸が垂直軸です。しかし、SET Z UPコマンドを、Z-軸が構造物の垂直軸(重力荷重の方向)であるモデル状態に使用できます。この状態は、入力配置がCADソフトウェアを通して作成される場合に生じ得ます。このコマンドは、デフォルトのBETA角の設定に影響します。しかし、BETAは、リストのMEMBER X(またはYまたはZ)タイプを使用することで、特定の全体座標軸に平行なすべての部材に対して、特定の値に設定することが可能です。その他の詳細については、CONSTANT設定(「TR.26 材料定数の設定と割り当て」)を参照してください。

注記: どちらのオプションも"右手の法則"に従います。

STAAD.Proの「全体座標系の鉛直方向」のオプション

SET Z UPコマンドは、次の入力値に直接的に影響します。
  1. JOINT COORDINATE
  2. PERFORM ROTATIONコマンド用の入力
  3. BETA ANGLE
注記: STAADの次の機能は、SET Z UPコマンドとともに使用できません。
  • べた基礎用ばね支持の自動生成
SET STAR i どのソルバーを使用するかをプログラムに指示します。その他の詳細については、「TR.0 STAADのコマンドと入力命令」を参照してください。
  • 3 = STAAD Advancedソルバー(インコア) - デフォルト
  • 4 = STAAD Advancedソルバー(アウトオブコア)
注記: SET STAR 3を使用している場合、次の制限を超えると、ソルバーが自動的にアウトオブコアに切り替わります。
  1. ノードの数 >30,000
  2. ノードの数×アクティブな主荷重ケースの数 > 1,600,000
SET EIGEN METHOD { LANCZOS | RITZ } (n/a)

LANCZOS - 固有ベクトルの抽出にアーノルド/ランチョス法を使用するようにソルバーに指示します。

RITZ - 固有ベクトルの抽出に荷重依存リッツベクトル法を使用します。

アーノルド/ランチョス法またはリッツ法のいずれかを使用する場合は、STAAD.Pro Advancedライセンスが必要です。どちらの方法も設定しない場合は、デフォルトの方法であるサブスペース反復が使用されます。

注記: SET EIGEN METHOD RITZは、プッシュオーバー解析または定常状態解析ではサポートされていません。プッシュオーバー解析の場合、横荷重の分配が固有ベクトルに基づいて行われるためです。このコマンドが存在する場合、出力に警告メッセージが表示されます。

頻繁には使用しないSETコマンド

下記の表には、頻繁には使用しないSETコマンドを示しています。

コマンド 既定 説明
SET INTERPOLATION { LIN | LOG }   LINまたはLOGのスペクトル
SET NOSECT   断面結果を計算しない
SET PLATE FLATNESS TOLERANCE f  

プレートの歪みをチェックするための許容値を設定するのに使用します。デフォルトでは、プレートの歪みは四角形要素を2つに分割することで形成される三角形の角度差が30度以上のときに、歪んでいると判断されます。分割する方法は2通りあり、4つの三角形ができます。許容値(単位:度)以上の場合は、エラーとなります。

fは度単位で入力します。

SET INPLANE ROTATION   プレートの面内回転(MX)を無視します。
SET ENDFACTOR f   スペクトルケースを組み合わせ(1.0または-1.0)
SET PROFILE s2   SQLite(.DB3)ファイルの断面特性データが格納されたデータベースのコレクションを含むフォルダのパスを定義するコマンド。このパスがGUIで断面プロファイルデータベースの場所として使用されることに注意してください。
SET NOWARNING   一部の警告メッセージをオフにします。
SET USE DLL   設計にされるプラグイン.dll(ACIコードのみ)
SET RIGID DIAPHRAGM i 150

使用するダイアフラムの数。このコマンドは、モデルで定義可能なダイアフラムの最大数を設定して、そのメモリを確保するために使用します。

解析における床ダイアフラムの定義と使用の詳細については、「TR.28.2 床ダイアフラム」を参照してください。
SET INCLINED REACTION   傾斜軸系の傾斜サポートの反力を取得
SET GROUP DUPLICATES   この後に整数の値を入力して、1つのモデルエンティティ(ノード、メンバー、プレート、またはソリッドオブジェクト)が属することができるグループの数を設定します。4~100の範囲で指定する必要があります。デフォルト値は10です。
SET CG TXT   生成された荷重組み合わせの断面力を外部テキストファイルに出力するために使用します。詳細については、「TR.35 荷重組み合わせの設定」を参照してください。生成されるテキストファイルが非常に大きくなることがあるため、このコマンドはデータの確認にのみ使用し、通常の状況では使用しないでください。
SET RS TXT   応答スペクトル荷重ケースの各モードの断面力を外部テキストファイルに出力するために使用します。詳細については、「TR.35 荷重組み合わせの設定」を参照してください。生成されるテキストファイルが非常に大きくなることがあるため、このコマンドはデータの確認にのみ使用し、通常の状況では使用しないでください。
SET NF TXT   限界荷重組み合わせ生成ケースに対応する各メンバーの断面力を外部テキストファイルに出力するために使用します。詳細については、「TR.35 荷重組み合わせの設定」を参照してください。生成されるテキストファイルが非常に大きくなることがあるため、このコマンドはデータの確認にのみ使用し、通常の状況では使用しないでください。
SET THCOPYS i  

i = 4(デフォルト)

i = 特定のノード自由度を時刻歴荷重に含めることができるタイプの数

SET WARNING { ON | OFF }   出力(.anl)ファイルで警告を抑制する場合にOFFに設定して使用します(デフォルトはON)。
SET NOTE { ON | OFF }   出力(.anl)ファイルで注記を抑制する場合にOFFに設定して使用します(デフォルトはON)。
SET DIVISION i   サーフェスのメッシュ生成で使用する分割数を設定します(デフォルトは10)。
SET MULTI { 1 | 2 }   マルチリニア解析が収束しない場合に、SET MULTI 2と入力して再実行することができます。
SET PARTICIPATION FACTOR   通常表示される総質量の割合に加え、有効質量比の数値を計算します。
SET BUCKLING MODES i   高度なソルバーで計算する座屈モードの数。デフォルトはi=4です。
SET BYPASS { DIS | FOR | EJS | EJF }  

グラフィカルユーザーインターフェイス用の特定の出力の生成をバイパスします。

  • DIS = 断面変位
  • FOR = 断面力
  • EJS = プレート節点応力
  • EJF = プレート節点力
SET LOAD PLATE   非アクティブなプレートに適用される荷重を含めます。