TR.35 荷重組み合わせの設定
このコマンドは、解析結果を組み合わせるために使用されます。構造物は、組み合わせ荷重に対しては解析されません。組み合わせの方法は、代数的、SRSS、両者の組み合わせ、または絶対値です。
一般的な書式
LOAD COMBINATION ( { SRSS | ABS } ) ( GENERATE ) i a1
i1 f1 i2 f2 … (fSRSS)
指定項目:
Parameter | 説明 |
---|---|
i | 荷重組み合わせの番号。既に定義されている主荷重ケースまたは荷重組み合わせと同じでない100,000未満の任意の整数にすることができます。 |
a1 | 荷重組み合わせに対するタイトル。 |
i1, i2, … | 組み合わせる荷重ケースまたは荷重組み合わせの番号。SRSSオプションにおいて、この荷重ケースをSRSSケースとしてではなく代数的に組み合わせることを示す場合はマイナス符号を使用します。 |
f1、f2 … | 荷重に作用させる係数。0.0以上の値を使用することができます。 |
fSRSS | SRSS荷重組み合わせの結果に作用する係数として使用される係数(下記の例を参照)。 |
GENERATE | SRSSまたはABSの荷重組み合わせに対するオプションのコマンド。荷重の自由度ごとに正と負のすべての可能な動作を表す荷重の組み合わせを生成します。使用すると、1つの絶対値の解析結果のセットが、これらの64の荷重組み合わせの解析結果に置き換えられます。 |
行の最後の文字がハイフンである場合、コマンドは次の行に続きます。
説明
荷重組み合わせオプションがそのままの場合は(つまりABSまたはSRSSのいずれも含まない場合)、解析より得られる結果は代数的に組み合わされます。
LOAD COMBINATION 6 DL+LL+WL 1 0.75 2 0.75 3 1.33
ABS組み合わせ法が含まれる場合は、解析より得られる結果の絶対値が組み合わされます。
LOAD COMBINATION ABS 7 DL+LL+WL 1 0.85 2 0.65 3 2.12
SRSS組み合わせ法が含まれる場合は、解析より得られる結果を代数的に、またSRSS(2乗和の平方根)を用いる方法の両方により組み合わせることが可能です。組み合わせ方法は、必要な場合は、混合させることが可能です。たとえば、同じ荷重組み合わせケースにおいて、荷重ケースの結果をSRSS方法により組み合わせ、その後、他の荷重ケースと代数的に組み合わせることが可能です。
注記
- LOAD COMBINATION SRSSオプションにおいて、マイナス符号が荷重ケース番号の前に付く場合、その荷重ケースは、残りの荷重ケースとSRSS組み合わせによって代数的に組み合わされます。
- 組み合わせ荷重ケースの2次的効果を、P-デルタ、メンバー/ばねの引張/圧縮、マルチリニアスプリング、すなわち非線形解析を通して得る場合は、LOAD COMBINATIONコマンドは使用しないでください。詳細については、REPEAT LOADコマンド(「TR.32.11 繰り返し荷重の設定」)を参照してください。
- 荷重組み合わせの設定においては、荷重係数として値0は許容されています。言い換えると、以下のような設定は、
LOAD COMB 7 1 1.35 2 0.0 3 1.2 4 0.0 5 1.7
許容されます。これは次と同じです。
LOAD COMB 7 1 1.35 3 1.2 5 1.7
- すべての荷重ケースの組み合わせは、最後の主荷重ケースのすぐ後で与えられる必要があります。
- 主荷重ケースと組み合わせ荷重の総数は、「TR.2 問題の開始とタイトル」に示される制限を超えることはできません。
- 最大550の荷重ケースをLOAD COMBINATIONコマンドを使用して組み合わせることが可能です。
- 荷重組み合わせでは、以前に定義された荷重組み合わせの番号を参照することができます。
荷重組み合わせの生成
オプションのGENERATEが含まれる場合、この1つの絶対値のセットが64の荷重組み合わせのセットに置き換えられます。それ以外の場合は、ABSまたはSRSSの荷重組み合わせの通常の方法に従います。
特定のモデルでは、内部で生成される64の荷重組み合わせケースについて、各メンバーの13のすべての断面力を外部テキストファイルに出力することができます。これを行うには、ジョイントの生成を指定する前に次のSETコマンドを使用します。
SET CG TXT
このコマンドを指定すると、STAAD入力ファイルと同じ場所にあるfilename _CG.txtという名前のファイルに、1~64の生成された荷重組み合わせについての各メンバーの断面力が出力されます。
荷重組み合わせにおける応答スペクトル
応答スペクトルケースのメンバーの断面力は、次の手順に従って導出されます。
- 各モードについて、メンバーの始点ジョイントと終点ジョイントの力が計算されます。
- 質量はメンバーの両端に集中するため、各モードによる断面力はメンバーの両端の間で線形に変化すると見なされます。したがって、各モードについて、断面力が任意の断面において線形に補間されます。
- すべてのモードについての各断面の力がモーダル組み合わせ方法を使用して組み合わされ、最終的な結果が導出されます。
応答スペクトル荷重ケースの各モードについて、それらの断面力を外部テキストファイルに出力することができます。これを行うには、ジョイントの生成を指定する前に次のSETコマンドを使用します。
SET RS TXT
このコマンドを指定すると、STAAD入力ファイルと同じ場所にあるfilename _RESP.txtという名前のファイルに各メンバーの断面力が出力されます。
断面力を使用できるようになったら、SRSS/ABSおよびGENERATEオプションを使用して他の静的荷重ケースと組み合わせることができます。
ASME NFに準拠した荷重組み合わせの設計
鋼構造設計を実施する際、対象の活性荷重ケースに主荷重と荷重組み合わせが含まれることがあります。荷重組み合わせが内部荷重生成ケースの場合、1つの特定の荷重組み合わせケースではなく、64のすべての荷重組み合わせが設計の対象になります。したがって、鋼構造設計結果は、1つの組み合わせケースのみについての設計と異なる場合があります。いずれかの荷重組み合わせ生成ケースが設計において限界荷重ケースになる場合、設計出力で通知されます。
親荷重組み合わせケースが危険設計荷重になる64の生成される荷重ケースについて、すべての断面力を外部テキストファイルに出力することができます。これを行うには、ジョイントの生成を指定する前に次のSETコマンドを使用します。
SET NF TXT
このコマンドを指定すると、STAAD入力ファイルと同じ場所にあるfilename _RESP.txtという名前のファイルに各メンバーの断面力が出力されます。
単純なSRSS組み合わせの例
いくつかの組み合わせの例が、可能な組み合わせ方法を説明するために与えられます。
LOAD COMBINATION SRSS 8 DL+SEISMIC 1 1.0 2 0.4 3 0.4
これ(LOAD COMBINATION SRSS 8)は、デフォルトの1であるSRSS係数による純粋なSRSS荷重組み合わせを示しています。次の組み合わせ方法が使用されます。
v = 1.0⋅(1⋅L12 + 0.4⋅L22 + 0.4⋅L32)1/2 |
= | ||
= |
SRSS係数が与えられないので、デフォルト値の1が使用されます。
同じ荷重組み合わせケースにおける代数的組み合わせ、およびSRSS組み合わせの例
例1
LOAD COMBINATION SRSS 9 -1 0.75 2 1.3 3 2.42 0.75
組み合わせの式は、次のとおりです。
意味= | ||
= |
上記の設定では、マイナス符号が荷重ケース1の前にあります。そのため、荷重ケース1は、SRSS法で荷重ケース2と3を組み合わせて得られた結果と代数的に組み合わされます。0.75のSRSS係数は、2と3のSRSS組み合わせに対して適用されます。
例2
LOAD COMBINATION SRSS 10 -1 0.75 -2 0.572 3 1.2 4 1.7 0.63
ここに、荷重ケース1と2の両方は、荷重ケース3と4のSRSS組み合わせと代数的に組み合わされます。SRSS係数は0.63であることに注意してください。組み合わせの式は、次のとおりです。