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TR.40 荷重エンベロープ

荷重エンベロープは、荷重ケースの組を1つの呼称(番号)の下にひとまとめにする方法です。鋼構造設計においてある荷重ケースの組に対して使用性をチェックし、別の荷重ケースの組に対して強度チェックを行う、などのように、ある荷重ケースの組に対して1つ以上のタスクを実行する必要がある場合にこの機能が便利です。

これは、LOAD LISTの代わりになるものです(「TR.39 荷重リストの設定」を参照)。

一般的な書式

荷重エンベロープは定義ブロック内で定義されます。各エンベロープに、エンベロープの定義に含まれる荷重または荷重組み合わせケースの性質を設定するオプションのタイプを割り当てることができます。

DEFINE ENVELOPE
load-list ENVELOPE i ( TYPE { STRESS | SERVICEABILITY | COLUMN | CONNECTION | STRENGTH | TEMPORARY} )
...
END DEFINE ENVELOPE

指定項目:

  • i = 荷重エンベロープの番号。

2つの荷重エンベロープタイプSERVICEABILITYSTRENGTHは、鋼構造設計の観点において特定のコードに対して特定の意味を持ちます。「鋼メンバーの強度と使用性の設計における荷重エンベロープの使用」を参照してください。その他のタイプは、レポートおよび後処理で荷重エンベロープの使用に注釈を付けるために使用されます。

荷重ケースまたは組み合わせは、1つの荷重エンベロープにのみ含めることができます。荷重ケースまたは組み合わせを複数の荷重エンベロープに含めた場合、そのケースまたは組み合わせは、それを含む最後の荷重エンベロープにのみ含まれます。

DEFINE ENVELOPEコマンド内の最初の行は、番号1~8の荷重ケースがCONNECTIONタイプの荷重エンベロープ1を構成していることを意味します。同様に荷重ケース9~15はSERVICEABILITYタイプの荷重エンベロープ2を定義します。

DEFINE ENVELOPE
1 TO 8 ENVELOPE 1 TYPE CONNECTION
9 TO 15 ENVELOPE 2 TYPE SERVICEABILITY
16 TO 28 ENVELOPE 4 TYPE STRESS
END DEFINE ENVELOPE

エンベロープの荷重リスト

エンベロープに含まれる荷重ケースに基づいて処理や計算を行う場合、それらのコマンドの前に次のコマンドを指定する必要があります。

LOAD LIST ENVELOPE load-env-list 

たとえば、荷重エンベロープ1に対応するサポート反力を印刷するには、次のコマンドが入力ファイルに与えられる必要があります。

LOAD LIST ENV 1
PRINT SUPPORT REACTIONS

鋼メンバーの強度と使用性の設計における荷重エンベロープの使用

ほとんどの設計コードでは、2つのタイプのチェックを実行する必要があります。

  1. たわみ
  2. 強度(耐力)

AISC 360-16/10/05、AISI 2016、IS 800 2007/1984、Canadian S16-14/S16-09/S16-01、NZS3404 1997、Eurocode 3のような強度設計に基づくコードでは、通常、使用性の荷重ケースでたわみチェックを行い、それとは別の係数を掛けた荷重ケースの組で強度チェックを行う必要があります。

そのため、どの荷重ケースをたわみチェックに使用し、どの荷重ケースを強度関連のチェックに使用するかを指定する必要があります。

荷重エンベロープを使用すると、この情報をタイプのキーワードSERVICEABILITYSTRENGTHを使用して指定することができます。さらに、設計コマンドの前に、コマンドLOAD LIST ENV load-env-list を指定する必要があります。

DEFINE ENVELOPE
101 TO 110 ENVELOPE 1 TYPE SERVICEABILITY
201 to 225 ENVELOPE 2 TYPE STRENGTH
END DEFINE ENVELOPE

LOAD LIST ENVELOPE 1 2

PARAMETER 1
CODE AISC UNIFIED
METHOD LRFD
FYLD 46 MEMB 27 37 67 TO 89
DFF 240 ALL
DJ1 …
DJ2 …
…
…
CHECK CODE ALL

たとえば強度のみなど、1つのタイプのチェックしか必要がない場合は、カテゴリ別に荷重ケースを分ける必要はなく、これらのエンベロープを作成する必要はありません。その場合は、LOAD LISTコマンド(「TR.39 荷重リストの設定」を参照)で十分であり、LOAD LIST ENV load-env-list を使用する必要はありません。