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TR.37.2 P-デルタ解析オプション

ラージデルタ、スモールデルタ、またはその両方の効果を考慮して、構造の2次オーダー解析を実行するために使用します。

一般的な書式

STAAD.Proでは、P-デルタ解析実行時に次のオプションを利用できます。

  1. スモールデルタとラージデルタの両方の効果、またはラージデルタ効果のみのP-デルタ解析。このオプションにより、全体力が全反復によって調整されます。

    PDELTA (n) ANALYSIS ( { LARGEDELTA | SMALLDELTA } ) (PRINT print-options)

    指定項目:

    Parameter説明
    PDELTA n 要求される反復回数(デフォルト値は、n = 1)。
    LARGEDELTA | SMALLDELTA SMALLDELTAがデフォルトです。
  2. KGマトリックスの応力硬化の効果を含むP-デルタ解析。このオプションにより、全体剛性が全反復によって調整されます。

    PDELTA KG ANALYSIS (PRINT print-options)
print-options = { LOAD DATA | STATICS CHECK | STATICS LOAD | BOTH | ALL }

詳細については、「TR.37.1 線形弾性解析」を参照してください。

これらのP-デルタ解析コマンドのいずれかがない場合は、P-デルタ解析は実行されません。

これらのANALYSISコマンドは、異なるフェーズで複数解析が必要である場合、繰り返すことが可能です。

PDELTA ANALYSISは、荷重ケースの組み合わせの2次効果を、それらがREPEAT LOAD設定を用いて定義された場合に限って、正しく考慮します(TR.32.11 繰り返し荷重の設定」を参照)。2次効果は、LOAD COMBINATIONSに対しては正しく評価されません。

P-デルタ効果は、フレームメンバーとプレート要素のみに計算されます。ソリッド要素、または曲線メンバーに対しては計算されません。

スモールデルタまたはラージデルタ(オプション1)に関する注意

  1. 本コマンドは、次を含む解析を実行するようプログラムに指示します。
    1. 解析用にすべての情報が与えられているかチェック
    2. ジョイント剛性マトリックスの形成
    3. 構造物の安定チェック
    4. 連立一次方程式を解く
    5. メンバー力と変位の計算
    6. P-デルタ解析では、力と変位が再計算され、選択されたP-デルタ効果が考慮される。
    7. RESPONSE SPECTRUMTIME LOAD、またはGROUND MOTIONが荷重ケース内で設定されるか、MODAL CALCULATIONコマンドが使用される場合、動的解析が実行される。
      注記: 動的解析に対してP-デルタ効果を計算することは、その効果が考慮されないので推奨されません。
    8. PDELTA ANALYSISの各"n"回目反復では、前回の反復で生じた変位による2次的効果を含むように荷重ベクトルが修正されます。
  2. オプション1のデフォルト手順は、"P-スモールデルタとP-ラージデルタ"の効果(P-δとP-Δと書かれることがあります)に基づいています。"P-ラージデルタ"の効果(P-Δ)のみを考慮する場合は、LargeDeltaパラメータを入力します。SmallDeltaが推奨されます。
  3. P-デルタ効果を適切に考慮するには、PDELTA (n) ANALYSISコマンド(オプション1)の反復を3~30に設定する必要があります。この多数回の反復により、PDELTA (n) ANALYSIS SMALLDELTAコマンドは、静的解析のPDELTA KG(オプション2)コマンドの結果と同じがそれ以上に良い結果を与えます。このPDELTA (n) ANALYSISコマンドの利点は、すべてのケースのすべての反復に対して剛性マトリックスの再構築と三角分解を行う必要がないことにあります。またこのコマンドは引張/圧縮を許容します。
  4. P-デルタ解析では全体座屈を生じることがあり、その結果、大きな、または無限の、またはNaN値の変位となることがあることに注意してください。そのようなケースの結果を使用しないでください。REPEAT LOADの組み合わせケースによる荷重は、非常に大きくなること、全リリースではなく部分的なモーメントリリースが必要となること、接続の修正が必要になることがあります。P-デルタ解析に対しては、常に最大変位をチェックするようにしてください。
注記: コントロール/依存システムを含めるために使用されるメカニズムにより、コントロールノードの反力が静的チェックに含まれていない場合、不平衡力レポートが発生する可能性があります。これは、短い剛性メンバーをコントロールノードからサポートに追加することで回避できます。

以下は、オプション 1に説明されるようにP-デルタ解析用コマンドの使用例です。

PDELTA ANALYSIS
PDELTA 5 ANALYSIS
PDELTA 20 ANALYSIS SMALLDELTA PRINT STATICS CHECK

STAAD.Proは、同一実行における複数のP-デルタ解析を許容します(詳細については、「TR.37.1 線形弾性解析 」の概評を参照)。

応力硬化マトリックス(オプション2)に関する注意

P-デルタ解析では、Kgマトリックスの応力硬化の効果をメンバー/プレート剛性に含ませるオプションが与えられます。

  1. 通常のSTAAD P-デルタ解析(オプション1)では、1次オーダー線形解析が実行され、ラージとスモールの両方のP-デルタ効果に基づいてメンバー/プレートからのジョイント力の組が得られます。 これに対して、P-デルタKG解析、つまりKgオプションでは、1次解析を使用してメンバー/プレートの剛性が修正された後の軸応力の効果が考慮されます。その後、元の荷重ベクトルを使用して2次解析が実行されます。このKGオプションでは、ラージとスモールのP-デルタ効果が常に考慮されます。
  2. 本コマンドは、次を含む解析を実行するようプログラムに指示します。
    1. 静的ケースを解く。
    2. 計算された引張/圧縮メンバー軸力に基づいたKgマトリックスの項を考慮するために全体ジョイント剛性マトリックスを再構成する。
    3. 変位に関する連立一次方程式を解く。
    4. RESPONSE SPECTRUMTIME LOAD、またはGROUND MOTIONが荷重ケース内で設定されるか、MODAL CALCULATIONコマンドが使用される場合、動的解析が実行される。このPDELTA KG解析コマンドによって解かれる静的ケースがまず解かれ、次に動的解析ケースが解かれる。
      注記: 動的解析で使用される剛性マトリックスは、最後の静的ケースの最後の反復で使用されたK+Kgマトリックスとする。これは、応力硬化動的解析であり、P-デルタ動的解析として知られています。
  3. PDELTA KG ANALYSISは、荷重ケースの組み合わせの2次効果を、それらがREPEAT LOAD設定を用いて定義された場合に限って、正しく考慮します(「TR.32.11 繰り返し荷重の設定」を参照)。2次効果は、最終的な結果が組み合わされるだけの荷重組み合わせに対しては正しく評価されません。
  4. P-デルタKG効果は、フレームメンバーとプレート要素のみに対して計算されます。ソリッド要素に対しては計算されません。結果は"P-ラージデルタとP-スモールデルタ"の効果に基づきます。
  5. 静的解析に対しては、もう1つのP-デルタコマンド(PDELTA (n) ANALYSIS (SMALL))で20以上の反復(オプション1)とすることが推奨されます。
  6. 引張/圧縮のみのメンバーには、PDELTA KGコマンドを使用できません。代わりにPDELTA (n) ANALYSIS (SMALL)コマンドを使用する必要があります。
  7. PDELTA KG ANALYSISでは全体座屈が生じる可能性があることに注意してください。この条件は通常STAAD.Proにより検知されます。メッセージが発行され、そのケースの結果はゼロに設定されます。STAAD.Proは、次の荷重ケースを続けます。   
  8. 全体座屈が検知されず、結果的に大きな変位、または無限大の変位、またはNaN値の変位、またはL-マトリックスの対角項が負、または安定性エラーとなるかもしれません。そのようなケースの結果を使用しないでください。この条件は非線形解析を必要とするかもしれません。REPEAT LOADの組み合わせケースによる荷重は、非常に大きくなること、全リリースではなく部分的なモーメントリリースが必要となること、接続の修正が必要になることがあります。P-デルタ解析に対しては、常に最大変位をチェックするようにしてください。

PDELTA KG ANALYSIS PRINT BOTH
PDELTA KG 2 ANALYSIS