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TR.23.3 引張/圧縮メンバーの設定

このコマンドは、あるメンバーを引張のみ、または圧縮のみのメンバーとして設定する際に使用されます。

引張のみのメンバーは、引張力のみを伝達するトラス/ケーブルメンバーです。そのため、引張のみのばねは圧縮を生じる荷重ケースに対しては自動的に無効化されます。

一般的な書式

MEMBER TENSION
member-list 

または

MEMBER COMPRESSION
member-list 

または

MEMBER TENSION 0

線形引張/圧縮解析  

圧縮のみのメンバーは、圧縮力のみを伝達するトラスメンバーです。そのため、圧縮のみのばねは引張を生じる荷重ケースに対しては自動的に無効化されます。この特性を持つメンバーにおいてメンバーリリースは許容されません。

引張のみ、または圧縮のみのメンバーの解析手順は、すべての荷重ケースに対して反復を要求し、そのため、極めて複雑です。ユーザーは、解析時間が許容できないほど大きい場合は、(Tension/Compressionの代わりに)INACTIVE設定の使用を検討することもできます。

CHANGEコマンドが(引張メンバー、引張ケーブル、サポートなどのリストの変更により)使用される場合は、SET NLコマンドを使用し、STAADに複数の解析と複数の構造条件が含まれることを伝える必要があります。

注記: 非線形ケーブルの解析に関して、このコマンドは必要ではなく無視されます。このコマンドなしでは、ケーブルは自動的に部分引張から完全引張のみ(常に自重がある点を除いて)であると仮定されます。この解析タイプにおいては、初期荷重のないトラスは、このコマンドにかかわらず引張と圧縮の両方を伝達する線形部材と仮定されます。
  1. MEMBER TENSION、またはMEMBER COMPRESSIONとして宣言されているメンバーにおいて定義される荷重は、解析過程において無効化(INACTIVE)されるときでも有効です。このことは、SELFWEIGHTMEMBER LOADSPRESTRESS、およびPOSTSTRESS LOADSTEMPERATURE LOADなどに当てはまります。

  2. 引張のみ、または圧縮のみとして宣言されているメンバーは、軸力のみを伝達します。モーメント、またはせん断力は伝達しません。つまり、トラス部材です。  

  3. これらのケースを組み合わせるのに荷重組み合わせを使用してはいけません。引張/圧縮ケースは、非線形であり、荷重組み合わせにおいて線形に組み合わせられるべきではありません。Repeat Loadコマンドとともに主荷重ケースを使用してください。  

MEMBER TENSION
12 17 19 TO 37 65
MEMBER COMPRESSION
5 13 46 TO 53 87

MEMBER TENSION 0

このコマンドは、このコマンドに続いて設定され、通常はCHANGEコマンドの後に入力される荷重ケースに対して、すべての引張/圧縮のみの設定を無効化します。このコマンドに関係するリストはありません。そのため、さらなる主荷重ケースに対しては、引張/圧縮のみの特性は、すべてのメンバーに対して無効化されます。

次に示すのは、MEMBER TENSIONコマンド、またはMEMBER COMPRESSIONコマンドが使用される場合の入力ファイルにおけるコマンドの一般的な並びです。この例は、MEMBER TENSIONコマンドに対するものです。同様の規則がMEMBER COMPRESSIONコマンドにも当てはまります。ドットは、他の入力データ項目を示しています。  

STAAD …
SET NL …
UNITS …
JOINT COORDINATES
…
MEMBER INCIDENCES
…
ELEMENT INCIDENCES
…
CONSTANTS
…
MEMBER PROPERTY
…
SUPPORTS
…
MEMBER TENSION
…
LOAD 1
…
LOAD 2
…
LOAD 3
…
LOAD 4
…
LOAD 5
REPEAT LOAD
…
PERFORM ANALYSIS
CHANGE
LOAD LIST ALL
PRINT …
PRINT …
PARAMETER
…
CHECK CODE …
FINISH

注記

  1. SET NLコマンドに関する説明は、「TR.5 SETコマンドの設定」を参照してください。このコマンドの後の数は、このファイル内の主荷重ケースの総数の上界です。

  2. STAADは、10回までの反復を自動的に行い、収束の場合は停止します。収束しない場合は、警告メッセージが出力に含まれます。デフォルトの反復回数を増加させる場合は、SET ITERLIM iコマンド(i > 10)を入力してください。この方法の使用において、収束しないかもしれないので、限界をあまり高く設定しないでください。   

  3. 解析において使用される原理は、次のとおりです。

    • プログラムは、MEMBER TENSION、COMPRESSIONとして宣言されているメンバーのリストを読込みます。

    • 解析は、全構造に対して実行され、メンバー力が計算されます。

    • MEMBER TENSION/COMPRESSIONとして宣言されているメンバーに対しては、プログラムは、その軸力をチェックして引張か圧縮かを決定します。メンバーがその荷重を伝達できない場合、メンバーは構造物から"消され"ます。 

    • 消されたメンバーを除いて、再び解析が実行されます。

    • ITERLIMコマンドが使用され、より大きな値が設定されていない場合は、上記ステップの10回までの反復が各荷重ケースに対して実行されます。

    • この方法は、常に収束するとは限らず、不安定である可能性があります。不安定性のメッセージを出力においてチェックしてください。最後の反復が不安定の場合、その結果を使用しないでください。

  4. 修正されたMEMBER TENSION/COMPRESSIONコマンドと付随のメンバーリストを、CHANGEコマンドの後に与えることができます。新しくMEMBER TENSION/COMPRESSIONコマンドが入力される場合、それ以前の同様のコマンドが置き換えられます。これらのコマンドがCHANGEコマンドの後に入力されない場合、前のコマンドが依然適用可能です。  

  5. MEMBER TENSIONコマンドは、次の荷重ケースがある場合使用できません。応答スペクトル荷重ケース、時刻歴荷重ケース、移動荷重ケース。MEMBER TENSION/COMPRESSIONは、使用される場合、すべての荷重ケースにおいて無視されます。 

  6. UBC荷重ケースが含まれる場合、それぞれのUBC荷重ケースの後に解析コマンドとCHANGEコマンドを続けてください。

  7. モデルでPデルタ解析が必要な場合は、「TR.37.2 P-デルタ解析オプション」の説明に従って最初の方法(スモールデルタまたはラージデルタ)のみを使用することができます。