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TR.20.10 メンバー特性低減係数

コンクリート設計仕様は、コンクリート断面の解析と設計に対してひび割れ断面特性の使用を推奨しています。ひび割れ断面特性を扱う手法は本来非線形であり、断面耐力をチェックして、その断面が負担する断面力に依存して断面耐力を修正する必要があります。そして、修正、低減された断面特性によってモデルを再解析し、再設計する必要があります。設計されるすべての断面における力が終局強度の許容限界以下となるまで反復を継続する必要があります。  

STAAD.Proでは、低減係数の組を設定して、面積、断面2次モーメント、およびねじり定数などの計算された断面特性に適用することができます。この方法を適用してコンクリート断面のひび割れの考慮を希望する場合、断面の受ける力とモーメントの性質に依存するこれらの低減係数に対して使用される値の組に関して、ACI 318の10.11.1節を参照してください。

注記: AISCマニュアル第13版の仕様では、解析中に鋼メンバーの剛性を低減することが提案されています。MEMBER CRACKEDコマンドの代わりに、PERFORM DIRECT ANALYSISコマンドを使用するときはREDUCEDEIパラメータを使用することもできます。詳細については、「TR.37.5 Direct解析」を参照してください。

一般的な書式

コマンドの書式は次のとおりです。

MEMBER CRACKED (CODE IS1893 2016)
{ member-list | group-list } REDUCTION *{ RAX f1 | RIX f2 | RIY f3 | RIZ f4 } 
それぞれの低減係数の値f1f4は、1以下の割合である必要があります。
Parameter説明
RAX f1 軸方向の面積の低減係数。

RAXは、2016年版IS1893コードには適用されません

RIX f2 ねじり定数の低減係数(部材系x軸を中心とする)。
RIY f3 部材系強軸(y軸)を中心とする断面二次モーメントの低減係数。
RIZ f4 部材系弱軸(z軸)を中心とする断面二次モーメントの低減係数。

これは特性値に掛けられる乗数です。これは、特性の低減量を意味しているのではなく、低減されない特性に掛けられる値です。そのため、計算された(またはユーザー設定の)特性値に低減係数を掛けたものが解析で使用される値になります。

たとえば、RAXに対して係数0.45が定義されると、総断面の断面積が0.8 ft2の場合、解析で使用される値は0.8 × 0.45 = 0.36 ft2となります。

同じ行において乗数は割り当て可能です。

低減係数は解析だけで設計においては考慮されません。

コード固有の低減係数

2016年版IS1893の条項6.4.3では、構造物の静的地震および応答スペクトルの解析と線形動的解析の場合にのみ、コンクリートメンバーの断面二次モーメントの値をはりについては0.35、柱については0.7低減するように求めています。

注記: 自動剛性低減にはSTAAD.Pro Advancedライセンスが必要です。

コード固有の低減係数は、コンクリートメンバー以外には影響しません。2016年版IS 1893の静的地震および応答スペクトル荷重用に、個別の剛性マトリックスが生成されます。その他のすべての荷重ケースについては、低減されていない剛性マトリックスを使用して解析が実行されます。

ヒント: 複数の解析コマンドを含むSTAAD.Proモデルの場合は、各解析コマンドに対して異なるコード固有の低減係数を使用することができます。

CHANGEコマンドには影響はなく、コード固有の低減係数はありません。

MEMBER CRACKED
1 REDUCTION RAX 0.35 RIX 0.40 RIY 0.45 RIZ 0.45

2016年版IS1893の例

START GROUP DEFINITION
MEMBER
_BEAM 1 4
_COLUMN 2 3 5 6
END GROUP DEFINITION
…
MEMBER CRACKED CODE IS1893 2016
_COLUMN REDUCTION RIY 0.700 RIZ 0.700
_BEAM REDUCTION RIY 0.350 RIZ 0.350