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TR.31.2.2 カナダの地震コード(NRC)- 1995

このコマンドのセットは、カナダのNational Building Code(NRC/CNRC)- 1995年版による地震解析に対して、等価静的横方向荷重を生成するパラメータを定義するために使用されます。この定義により、等価横荷重が水平方向に生成されます。

地震荷重ジェネレータは、Y upに対してX、Z方向の横荷重を、Z upに対してX、Y方向の横荷重を生成するために使用されます。Y upまたはZ upは、垂直軸であり、重力の方向です(「TR.5 SETコマンドの設定」のSET Z UPコマンドを参照)。基礎上の床の垂直座標は、正である必要があり、垂直軸は、床に垂直である必要があります。

一般的な書式

横荷重生成のためのコマンド設定には2段階あります。これが第1の段階で、DEFINE NRC LOADコマンドにより有効化されます。

DEFINE NRC LOAD
nrc-spec
weight-data

地震荷重の構造の重量を設定する方法については、「一般的な重量データ」を参照してください。

指定項目:

nrc-spec = *{ V f1 ZA f2 ZV f3 RX f4 RZ f5 I f6 F f7 (CT f8) (PX f9) (PZ f10) }
Parameter説明
V f1 付録Cによる地域速度比
ZA f2 付録Cによる地震地域に関連する加速度用係数
ZV f3 付録Cによる地震地域に関連する速度用係数
RX f4 構造物の非弾性挙動によるエネルギー散逸能力を考慮したX方向に沿った力修正係数。表4.1.9.1Bを参照してください。
RZ f5 構造物の非弾性挙動によるエネルギー散逸能力を考慮したZ方向に沿った力修正係数。表4.1.9.1Bを参照してください。
I f6 Section 4.1.9.1のSentence 10による地震重要度係数
F f7 Section 4.1.9.1の表4.1.9.1CとSentence 11に適合する基礎係数
CT f8 構造物の基本周期を計算するために使用される係数。これはオプションのパラメータです。
PX f9 X方向の構造物の周期(秒)。これは、オプションのパラメータです。
PZ f10 Z方向の構造物の周期(秒)。これは、オプションのパラメータです。

SET Z UPコマンドを使用する場合にYに対して使用されます。

w リストに関係するジョイントの重量
v1v2v3 v1の等分布荷重を指定するときに使用します。等分布荷重は、メンバー始端からの距離v2から始まり、メンバー始端からの距離v3で終わります。v2とv3を省略すると、荷重は、メンバー全長にわたると仮定されます。
v4v5 v4の集中荷重をメンバー始端からの距離v5に適用するように指定するときに使用します。v5を省略すると、荷重がメンバーの中央に作用すると仮定されます。
p1 選択されたプレートの単位面積当たりの重量。プレート全体にわたって一定であると仮定されます。

プレート要素がモデルの一部である場合は、Element Weightが使用され、プレートに作用する等分布圧が重量計算において考慮されます。

はりによって囲まれる領域に圧力が作用する場合、Floor Weightが使用されますが、領域を構成するスラブのようなエンティティは、構造モデルの部分として定義されません。FLOOR LOADSを使用するのと同様な状況で使用されます(床荷重入力の詳細については、「TR.32.4 面荷重、1方向荷重、および床荷重の設定」を参照してください)。

重量データは、示される順番にある必要があります。

NRC荷重の生成

上記のように定義される荷重は、NRC荷重ケースにおいて構造物に作用します。これらの荷重ケースは、入力ファイルの最初の荷重ケースである必要があります。組み込みアルゴリズムは、関連するコードの仕様に従って、ベースせん断を適切な高さと屋根に自動的に分配します。

次の一般的な書式が、特定の方向に荷重を生成するために使用されます。

LOAD i
NRC LOAD { X | Y | Z } (f1)

指定項目:

Parameter説明
LOAD i 荷重ケース番号
NRC LOAD { X | Y | Z } f1 NRC荷重に掛けられる係数(デフォルトは1.0)。負の値も許容されます。

注記

  1. PX、またはPZ、またはその両方を与えることにより、レイリーの方法を使用してSTAADによって計算される周期をオーバーライド可能です。PX、またはPZが定義されない場合、上記の方法2(b)の周期は、レイリーの方法とSection 4.1.9.1のSentence 7(c)の規定を使用してプログラムにより計算されます。
  2. NRC解析用の出力のいくつかの項目について次に説明します。

    • Ta  = Section 4.1.9.1のSentence 7(a)、または7(b)によって計算される時間周期
    • Tc  = Section 4.1.9.1のSentence 7(c)によって計算される時間周期

    CALC/USED PERIOD

    CALC PERIODは、レイリーの方法を使用して計算される周期です。x方向のNRCに対して、使用される周期は、PXです。z方向(SET Z UPが使用される場合は、Y方向)のNRCに対して、使用される周期は、PZです。PXとPZが与えられる場合、使用される周期は、その方向に対して計算される周期と同じです。使用される周期は、Sの値を見つける際に使用される周期です。 

  3. UBC荷重用の解析において、すべてのサポートは、同じ高さにある必要があり、また、構造物の最も低い高さレベルにある必要があります。
注記: 荷重の生成に使用される地震荷重定義の適用に関する詳細については、TR.32.12.2 地震荷重の生成を参照してください。

設計方法

横方向地震荷重、つまりベースせん断(V)の最小値は、適切な式(NRCのSection 4.1.9.1のSentence 4)を使用してSTAADにより自動的に計算されます。

V = 0.6⋅Ve/R

指定項目:

Veは、弾性応答を表す等価横方向地震力であり(Section 4.1.9.1のSentence 5による)、次の式で与えられます。

Ve = v⋅S⋅I⋅W

指定項目:

  • v =  付録Cによる地域速度比
  • S = 表4.9.1.Aによる地震応答係数
  • I = Section 4.1.9.1のSentence 10による地震重要度係数
  • F = Section 4.1.9.1の表4.9.1.CとSentence 11に適合する基礎係数
  • W = Section 4.1.9.1のSentence 2による集中重量の全荷重
  • R = 構造物の非弾性挙動によるエネルギー散逸能力を考慮した表4.9.1.Bに適合した力修正係数

STAADは、横方向地震荷重を生成するために次の方法を使用します。

  1. ユーザーは、DEFINE NRC LOADコマンドを通して、地震地域係数と必要な"nrc-spec"(1995)を与えます。
  2. プログラムは、基本周期(T)を次により計算します。

    1. 解析対象の構造物が主に鋼製、またはコンクリート製のモーメント抵抗フレームであるか、別のタイプの構造であるかを識別します。あるいは、オプションのパラメータCTが与えられる場合、それを使用します。計算は、Section 4.1.9.1のSentence 7(a)と7(b)に従って行われます。
    2. レイリーの方法、または、与えられる場合、オプションのパラメータPX、PZを使用します。Section 4.1.9.1のSentence 7(c)の規定も計算において考慮されます。
    3. 上記(a)と(b)の方法で計算されたTのうち安全側の値が採用されます。
  3. プログラムは、上記で計算されたTの値、ユーザーによって入力されたZA、ZVの値を使用して、表4.9.1.Aによる地震応答係数(S)の値を見つけます。
  4. プログラムは、Section 4.1.9.1のSentence 4によりVを計算します。Wは、DEFINE NRC LOADコマンドを通してユーザーによって与えられる重量データ(SELFWEIGHT、JOINT WEIGHTなど)より得られます。重量データは、示される順番にある必要があります。
  5. 全横方向地震荷重(ベースせん断)は、Section 4.1.9.1のSentence 13(a)のような該当のNRCガイドラインに従い、プログラムによって構造物の異なる高さに分配されます。

例1

DEFINE NRC LOAD
V 0.2 ZA 4 ZV 4 RX 4 RZ 4 I 1.3 F 1.3 CT 0.35 PX 2 PZ 2
SELFWEIGHT
JOINT WEIGHT
17 TO 48 WEIGHT 7
49 TO 64 WEIGHT 3.5
LOAD 1 EARTHQUAKE ALONG X
NRC LOAD X 1.0
PERFORM ANALYSIS 

例2

STAAD SPACE EXAMPLE PROBLEM FOR CANADIAN NRC LOADING

UNIT METER KN
JOINT COORDINATES
1 0 0 0 4 10.5 0 0
REPEAT 3 0 0 3.5
REPEAT ALL 3 0 3.5 0

MEMBER INCIDENCES
101 17 18 103
104 21 22 106
107 25 26 109
110 29 30 112
REPEAT ALL 2 12 16
201 17 21 204
205 21 25 208
209 25 29 212
REPEAT ALL 2 12 16
301 1 17 348

MEMBER PROPERTY CANADIAN
101 TO 136 201 TO 236 PRIS YD 0.4 ZD 0.3
301 TO 348 TABLE ST W460X52

DEFINE MATERIAL START
ISOTROPIC CONCRETE
E 2.17184e+007
POISSON 0.17
DENSITY 23.5615
ALPHA 5.5e-006
DAMP 0.05
ISOTROPIC STEEL
E 1.99947e+008
POISSON 0.3
DENSITY 76.8191
ALPHA 6.5e-006
DAMP 0.03
END DEFINE MATERIAL

CONSTANTS
MATERIAL CONCRETE MEMB 101 TO 136 201 TO 236
MATERIAL STEEL MEMB 301 TO 348

SUPPORTS
1 TO 16 FIXED

DEFINE NRC LOAD
V 0.2 ZA 4 ZV 4 RX 4 RZ 4 I 1.3 F 1.3 CT 0.35 PX 2
SELFWEIGHT
JOINT WEIGHT
17 TO 48 WEIGHT 7
49 TO 64 WEIGHT 3.5

LOAD 1 EARTHQUAKE ALONG X
NRC LOAD X 1.0
PDELTA ANALYSIS PRINT LOAD DATA
CHANGE

LOAD 2 EARTHQUAKE ALONG Z
NRC LOAD Z 1.0
PDELTA ANALYSIS PRINT LOAD DATA
CHANGE

LOAD 3 VERTICAL LOADS
SELFWEIGHT Y -1
JOINT LOAD
17 TO 48 FY -7
49 TO 64 FY -3.5

LOAD 4 EQ IN X + GRAVITY
REPEAT LOAD
1 1.0 3 1.0

LOAD 5 EQ IN Z + GRAVITY
REPEAT LOAD
2 1.0 3 1.0

PERFORM ANALYSIS
LOAD LIST ALL
PRINT SUPPORT REACTION
FINISH