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D9.B.3 設計パラメータ

次の表のパラメータを使用することで、ユーザーは設計過程において思い通りの設計を行うことができます。これらのパラメータを通して、エンジニアの設計上の判断がプログラムに伝えられます。パラメータの既定値は、標準的な設計において頻繁に使用される値に設定されています。個別の設計要求に応じて、実際の構造物を正確にモデル化するために、これらのパラメータの値を変更することができます。
注記: 一度パラメータを設定すると、その値は再度設定されるまで設定されたその数のままです。これはSTAAD.Proで、すべてのコードに対してあてはまります。
表 1. 日本の鋼構造設計パラメータ(2005)
パラメータ名 既定値 説明
CODE -

AIJ 2005を呼び出すには、 JAPANESE 2005を指定する必要があります。

準拠する設計コード。「TR.48.1 パラメータの設定」を参照してください。

BEAM 1.0

設計の場所:

  • 0.0)端部モーメントのみ、またはSECTIONコマンドで指定された位置におけるモーメントに対する設計です。
  • 1.0)はりに沿った12番目の点でモーメントを計算します。
CAN 0 たわみのチェック方法を指定します。
  • 0)最大たわみはDJ1とDJ2の間のスパンで生じるという原則に基づいて、たわみのチェックを行います。
  • 1)最大たわみは片持ちはりのタイプで生じるという原則に基づいてたわみのチェックを行います(注意a参照)。
CB 0

AIJコードのC値。Cの計算方法と適用方法については、「 D9.B.2 メンバー耐力 - 曲げ応力」を参照してください。

Cbを計算するようにプログラムに指示するには0.0を使用。

その他任意の値は、プログラムの計算した値の代わりに使用される。

DFF なし(たわみチェックについては必須) "許容たわみ率"(梁長/許容部材座標系たわみ)
DJ1 メンバーの始点ジョイント "たわみ長さ"計算用始点を表すジョイント番号(注意b参照)
DJ2 メンバーの終点ジョイント "たわみ長さ"計算用終点を表すジョイント番号(注意b参照)
DMAX 100 cm メンバーの最大許容せい
DMIN 0.0 cm メンバーの最小許容せい
FYLD 235 MPa 降伏強度

材料強度の値は、指定されている場合、FYLD パラメータから最初に取得されます。FYLDが指定されていない場合は、材料定義の値が使用されます。材料定義が割り当てられていない場合は、パラメータの既定値であるFy = 235 MPaと仮定されます。

KY 1.0 ローカルy軸におけるK値。通常は副軸。
KZ 1.0 ローカルz軸におけるK値。通常は主軸。
LY メンバーの長さ ローカルy軸における細長比算出時の座屈長さ
LZ メンバーの長さ 上記でローカルz軸としたもの
MAIN 200 圧縮メンバーの許容細長限界
  • 0.0)既定値を使用した細長のチェック
  • 1.0)圧縮細長のチェックを行わない

1より大きい任意の値 = 許容圧縮KL/r(最大250)

MBG 0 主軸の曲げチェックを実行するときに、H形、I形、チャンネル断面のZ軸についての断面係数を計算する方法を指定します。
  • 0)フランジとウェブを考慮します。
  • 1)フランジのみを考慮します。ウェブは、断面係数の計算では無視されます。
MISES 1 Von Misesチェックのオプション:
  • 0)Von Misesチェックを実行しない。
  • 1)標準AIJ計算。直応力σxは、符号付きの力と適切な弾性係数を使用して、断面のそれぞれの角における応力を計算することによって決定されます。最大応力の大きさが使用されます。
  • 2) τyでは、ねじり応力が除外されます。オプション1と同じですが、せん断応力の計算では、ねじりモーメントが除外されます。
  • 3) σx絶対力に基づいて、直接応力σxは、断面における力の絶対値を、各軸の弾性断面係数の最小値で除算して計算されます。
  • 4) σxは絶対力に基づき、τyではねじり応力が除外されます。オプション3と同じですが、せん断応力の計算時にはねじりモーメントが除外されます。
詳細については、「 D9.B.4 Von Mises応力チェック」を参照してください。
NSF 1.0 引張メンバーに関する有効断面係数
PLB 0

塑性限界細長比。

この値が0(既定値)の場合は、AIJ 2005公式5.12または5.14に従って計算されます。その他の入力値は、すべてp-lambda-bの値として使用されます。

RATIO 1.0 実応力の許容応力に対する許容比
SLF 1 細長断面設計オプション:
  • 0)細長断面は設計されません - これらの断面の設計がサポートされないことを示すエラーメッセージが表示されます。
  • 1)減らされていないプロファイル(フルプロファイル)を使用して設計された細長い断面 - 一般的でない設計である可能性があるというエラーメッセージが表示されます。
TMAIN 400

引張メンバーの許容細長限界

  • 0.0)既定値を使用した細長のチェック
  • 1.0)細長のチェックを行わない

1より大きい任意の値 = 許容引張KL/r

TRACK 0.0
出力詳細レベル:
  • 0)設計概要のみ生成
  • 1)中程度の詳細出力を生成
  • 2)最大限の詳細出力を生成
UNF 1.0 曲げねじり座屈の計算に使用される、実際のメンバー長の割合として与えられる支点間距離。
注記: UNFパラメーターとUNLパラメーターの両方を指定した場合、使用される有効座屈長さはUNF×UNLです。
UNL メンバーの長さ 許容曲げ応力を計算するための支点間距離。曲げねじり座屈の計算に使用されます。値は現長さ単位のものです。

D9.B.3.1 注記

  1. たわみチェックを行う際は、2つの方法から選択可能です。第1の方法はCANパラメータの値が0として定義され、局所変位に基づいています。局所変位の詳細については、「TR.44 メンバーに関する断面変位の出力」を参照してください。

    CANパラメータが1にセットされると、片持ちはり形式のたわみに基づいてチェックが行われます。(DX1, DY1,DZ1)を、DJ1DJ1がない場合は、メンバーの始点)によって定義される節点における(全体座標軸での)節点変位とします。同様に、(DX2, DY2, DZ2)を、DJ2またはメンバーの終点におけるたわみ値とします。

    計算デルタ = ( DX2 DX1 ) 2 + ( DY2 DY1 ) 2 + ( DZ2 DZ1 ) 2

    計算長さ = DJ1DJ2の間の距離、または、ケースによっては始点と終点の間の距離。

    CANが値1に設定される場合、dff = L/Delta

    たわみの比 = DFF/dff

  2. CAN = 0の場合、"たわみ長さ"は、メンバー内の局所たわみの計算に使用される長さとして定義されます。ほとんどのケースにおいて、"たわみ長さ"はメンバーの長さに一致することに注意してください。しかし、状況によっては、"たわみ長さ"がメンバー長さとは異なる場合があります。DJ1DJ2を結ぶ直線は、そこから部材座標系たわみを測定するための参照線として使用されます。

    たとえば、1つのはりが4つのジョイントと3つのメンバーとしてモデル化されている下記の図を参照してください。本ケースでは、"たわみ長さ"は、3つのメンバーすべてで、はりの全長と等しくなることに注意してください。この状況をモデル化するには、パラメータDJ1DJ2を使用します。そのため、3つのメンバーすべてに対してDJ11とし、DJ24とします。
    D = メンバー1、2、3の最大局所変位。
    PARAMETERS
    DFF 300. ALL
    DJ1 1 ALL
    DJ2 4 ALL
  3. DJ1DJ2が使用されない場合は、"たわみ長さ"は既定でメンバー長さとなり、部材座標系たわみは、元のメンバー線から計測されます。
  4. 上記のパラメータが他の鋼構造設計用パラメータと一緒に使用可能です。