TR.34.1 レイリー振動数の計算
このコマンドは、レイリー法により構造物の近似的な振動数を求めるために使用されます。その振動数は、このコマンドより前に設定される荷重ケースによって生じる、たわみの一般的な方向に対応する構造物の振動に関するものです。そのため、このコマンドは、通常ある荷重ケースの後に来ます。
説明
このコマンドは、レイリー振動数が計算される任意の主荷重ケースにおける、他のすべての荷重設定の後に設定されます。このレイリー振動数計算は、1反復を使用するレイリー反復法に基づいています。より正確でフルスケールの固有値解析が必要な場合は、MODAL CALCULATIONコマンド(次節参照)が利用可能です。任意の荷重ケースにおいて、RESPONSE SPECTRUM、またはTIME HISTORYが設定される場合、全固有値解析が自動的に実行されます。
例
LOADING 1 SELFWEIGHT X 1.0 CALCULATE RAYLEIGH FREQUENCY LOADING 2 SELFWEIGHT Z 1.0 CALCULATE RAYLEIGH FREQUENCY LOADING 3 WIND LOAD
この例では、荷重ケース1のX方向モードの振動とケース2のZ方向モードの振動についてレイリー振動数を計算します。
ケース1では、全体座標系のX方向に静的に適用されるSELFWEIGHTで構造を変形させています。基礎のみで支えられているほとんどのフレームでは、全体座標系のX方向の最も低いモードの形状に近いたわみが生じます。したがって、この振動数は最も低いX方向モードに近いものとなります。
荷重ケース2についても同様に、自重が全体座標系のZ方向に静的に適用されるため、計算された振動数は最も低いZ方向モードのものに近くなります。
秒あたりサイクル数(cps)の振動数の値、全体座標方向の最大たわみとそれを生じるジョイント番号が出力されます。
注記
このコマンドは、1反復を使用するレイリー反復法に基づいています。計算される振動数は、荷重ケースの荷重によって生じる静的たわみ形で構造物が振動することを強いられるような振動数を予測します。
多くの事例では、力はある全体座標の方向において与えられる必要があり、それはその方向に関連するモードと振動数を得るためです。
レイリー法は力に依存するため、周波数の逆数(周期、T = 1/f)は、STAAD.Proによって静的地震荷重に対して計算されたTb値と一致しない場合があります。これは、レイリー法を使用するおおよその基本周期の計算では、たわみを得るために、最初に垂直質量重量を水平力として使用するためです。