STAAD.Pro Help

TR.27.5 ばね引張/圧縮の設定

このコマンドは、特定のサポートばねを引張のみ、または圧縮のみのばねとして設定する際に使用されます。

一般的な書式

SPRING TENSION
joint-list (spring-spec )
SPRING COMPRESSION
joint-list (spring-spec )

指定項目:

spring-spec = *{ KFXKFYKFZALL }

説明

引張のみのばねは、引張力のみを伝達可能です。そのため、引張のみのばねは圧縮を生じる荷重ケースに対しては自動的に無効化されます。圧縮のみのばねは、圧縮力のみを伝達可能です。そのため、圧縮のみのばねは引張を生じる荷重ケースに対しては自動的に無効化されます。 

spring-specが入力されない場合、またはALLが入力される場合は、そのジョイントにおけるすべての並進ばねは、引張のみ(または圧縮のみ)になります。この入力コマンドは、ばねを生成せず、そのジョイントのある方向にサポートばねがある場合に、そのサポートばねも引張のみ(または圧縮のみ)となるだけです。ばねの定義については、「TR.27 サポートの設定」を参照してください。 

圧縮のみのばねに対して、ALLパラメータは、特別の意味があります。圧縮のみのばねは、Y方向にあり、XおよびZ方向のばねは、2方向です。Y方向ばねが緩む際、同じジョイントのX、Zばねも無効化されます。  

注記: 引張のみ、または圧縮のみのばねの解析手順は、すべての荷重ケースに対して反復を要求し、そのため、極めて複雑です。

このコマンドは、ばねがジョイントから正方向にあるか負方向にあるかを設定しないので、STAAD.Pro内でばねは負方向にあると仮定します。負の変位に対して、ばねは圧縮状態にあり、正の変位に対して、ばねは引張状態にあります。

CHANGEコマンドが(引張ばね、サポートなどのリストの変更により)使用される場合、SET NLコマンドを使用し、STAAD.Proに複数の解析と複数の構造条件が含まれることを伝える必要があります。

  1. SET NLコマンドに関する説明は、「TR.5 SETコマンドの設定」を参照してください。このコマンドの後の数は、このファイル内の主荷重ケースの総数の上界です。
  2. STAAD.Proは、10回までの反復を自動的に行い、収束の場合は停止します。収束しない場合は、警告メッセージが出力に含まれます。デフォルトの反復回数を増加させる場合は、SET ITERLIM iコマンド(i > 10)を入力してください。この方法の使用において、収束しないかもしれないので、限界をあまり高く設定しないでください。収束しない場合は、警告メッセージが出力に含まれます。    
  3. 解析において使用される原理は、次のとおりです。
    • プログラムは、SPRING TENSIONCOMPRESSIONとして宣言されているばねのリストを読み込みます。
    • 解析は、全構造に対して実行され、ばね力が計算されます。
    • SPRING TENSIONCOMPRESSIONとして宣言されているばねに対して、プログラムは、その軸力をチェックして引張か圧縮かを決定します。正の変位は引張です。ばねがその荷重を伝達できない場合、ばねは構造物から"消され"ます。
    • 消されたばねを除いて、再び解析が実行されます。
    • 上記のITERLIMの反復まで、各荷重ケースに対してステップが取られます。
    • この方法は、常に収束するとは限らず、不安定である可能性があります。不安定性のメッセージを出力においてチェックしてください。最後の反復が不安定の場合、その結果を使用しないでください。すべての反復において安定であるために、各全体方向において引張(または圧縮)のみではないいくつかのサポートを含む必要があるかもしれません。
  4. 修正されたSPRING TENSIONCOMPRESSIONコマンドと付随のジョイントリストを、CHANGEコマンドの後に与えることができます。新しくSPRING TENSION/COMPRESSIONコマンドが入力される場合、それ以前の同様のコマンドが置き換えられます。CHANGEの後に入力されない場合、前回のばねの定義が使用されます。 
  5. SPRING TENSIONコマンドは、次の荷重ケースがある場合使用できません。応答スペクトル荷重ケース、時刻歴荷重ケース、移動荷重ケース。SPRING TENSIONCOMPRESSIONは、使用される場合、すべての荷重ケースにおいて無視されます。
  6. SPRING TENSIONCOMPRESSIONコマンドがUBC、IBCまたはそのような他の地震荷重ケースを持つモデルで使用される場合、各荷重ケースの後にANALYSIS、およびCHANGEコマンドを続ける必要があります。

注記

  1. 引張のみまたは圧縮のみとして宣言されるばねは、軸力のみを伝達します。モーメントは伝達しません。 

  2. SPRING TENSIONCOMPRESSIONコマンドは、INACTIVE MEMBERコマンドが設定される場合は、設定されるべきではありません。

  3. これらのケースを組み合わせるのに荷重組み合わせを使用してはいけません。引張/圧縮ケースは、非線形であり、荷重組み合わせにおいて線形に組み合わせられるべきではありません。Repeat Loadコマンドとともに主荷重ケースを使用してください。

SPRING TENSION
12 17 19 TO 37 65
SPRING COMPRESSION
5 13 46 TO 53 87 KFY

次に示すのは、SPRING TENSION、またはCOMPRESSIONコマンドが使用される場合の入力ファイルにおけるコマンドの一般的な並びです。この例は、SPRING TENSIONコマンドに対するものです。同様の規則がSPRING COMPRESSIONコマンドにも当てはまります。ドットは、他の入力データ項目を示しています。

STAAD …
SET NL …
UNITS …
JOINT COORDINATES
…
MEMBER INCIDENCES
…
ELEMENT INCIDENCES
…
CONSTANTS
…
MEMBER PROPERTY
…
element property
…
SUPPORTS
…
spring TENSION
…
LOAD 1
…
LOAD 2
…
LOAD 3
REPEAT LOAD
…
PERFORM ANALYSIS
CHANGE
LOAD LIST ALL
PRINT …
PRINT …
PARAMETER
…
CHECK CODE …
FINISH