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TR.31.2.13 2000年版/2003年版IBC荷重定義

本節で説明するように、2000年版と2003年版のIBCコードの静的等価アプローチを使用した建物の地震解析に関する仕様が実装されました。 この定義により、等価横荷重が水平方向に生成されます。

一般的な書式

横荷重生成のためのコマンド設定には2段階あります。これが第1の段階で、DEFINE IBC 2000または2003 LOADコマンドにより有効化されます。

DEFINE IBC ( { 2000 | 2003 } ) (ACCIDENTAL) LOAD
 ibc-spec
weight-data

地震荷重の構造の重量を設定する方法については、「一般的な重量データ」を参照してください。

指定項目:

ibc-spec = { SDS f1 SD1 f2 S1 f3 I f4 RX f5 RZ f6 SCLASS f7 (CT f8) (PX f9) (PZ f10) }
Parameter説明
SDS f1 短周期の設計スペクトル応答加速度。2000年版IBCの1615.1.3節の式16-18、およびASCE7-02の式9.4.1.2.5-1を参照してください。
SD1 f2 1秒周期の設計スペクトル応答加速度。2000年版IBCの1615.1.3節の式16-19、およびASCE7-02の式9.4.1.2.5-2を参照してください。
S1 f3 1秒周期のマップされたスペクトル加速度。2000年版IBCの式16-17、およびASCE 7-02の式9.4.1.2.4-2を参照してください。
I f4 2000年版および2003年版IBCの1616.2節とASCE 7-02の9.1.4節(96ページ)に従って決定された占有重要度係数。
RX f5 X方向の横荷重に対する応答修正係数。2000年版IBCの表1617.6(365-368ページ)と2003年版IBCの表1617.6.2(334-337ページ)を参照してください。2000年版IBCの式16-35、16-36、および16-38で使用されています。
RZ f6 Z方向の横荷重に対する応答修正係数。2000年版IBCの表1617.6(365-368ページ)と2003年版IBCの表1617.6.2(334-337ページ)を参照してください。2000年版IBCの式16-35、16-36、および16-38で使用されています。
SCLASS f7 2000年版IBC(350ページ)および2003年版IBC(322ページ)の1615.1.1節で定義されるサイトクラス。
表 1. STAADで使用されるIBC土壌クラス(SCLASS)の値
STAADの値 IBCコードの値
1 A
2 B
3 C
4 D
5 E
6 F
CT f8 時間周期 Ta の計算に使用されるオプションの Ct値。2000年版IBCの1617.4.2.1節の式16-39、およびASCE 7-02の9.5.5.3.2節の式9.5.5.3.2-1を参照してください。指定する場合、正しい単位系で値を指定するのはユーザーの責任です。値については、AISC 7-02の表9.5.5.3.2を参照してください。
Ct を指定しなかった場合は、モデルの弾性率の平均値 E a v g   =   E / M M はメンバーの数)が計算され、これを使用して構造タイプが決定されます。
  1. Eavg < 4,000 ksi、モーメント抵抗コンクリートフレームにCt が使用されます。
  2. Eavg > 10,000 ksi、モーメント抵抗鉄骨フレームにCt が使用されます。
  3. 4,000 ksi ≤ Eavg ≤ 10,000 ksi、"その他すべての構造システム"にCt の値が使用されます。""
注記: Ct を指定しなかった場合、使用する構造タイプが自動的に決定された構造の説明と実際に一致していることを確認するのはユーザーの責任です。詳細については、IBC/ASCE 7コードを参照してください。

ASCE 7-02の表9.5.5.3.2には、"Eccentrically braced steel frames"(偏心ブレース鉄骨フレーム)も含まれています。STAAD.Proでは、この値は自動的に選択されません。この構造タイプでは、 Ctを指定する必要があります。

PX f9 2000年版IBCの1617.4.2節およびASCE 7-02の9.5.5.3節より導かれる値の代わりに、構造物の基本周期として使用されるX方向の周期(秒)。
PZ f10 2000年版IBCの1617.4.2節およびASCE 7-02の9.5.5.3節より導かれる値の代わりに、構造物の基本周期として使用されるZ方向またはY方向の周期(秒)。
注記: 荷重の生成に使用される地震荷重定義の適用に関する詳細については、TR.32.12.2 地震荷重の生成を参照してください。

地震荷重ジェネレータは、Y upに対してX、Z方向の横荷重を、Z upに対してX、Y方向の横荷重を生成するために使用されます。Y upまたはZ upは、垂直軸であり、重力の方向です(「TR.5 SETコマンドの設定」のSET Z UPコマンドを参照)。基礎上の床の垂直座標は、正である必要があり、垂直軸は、床に垂直である必要があります。

各コードの実装の詳細は次のとおりです。

2000年版IBC

広範囲の基礎として、2000年版IBCコードのドキュメントの1617.4節で説明されている規定が実装されました。これらは、そのドキュメントの359~362ページに記載されています。特定の節番号(実装されているものと実装されていないもの)を次に示します。

表 2. プログラムで実装および省略された2000年版IBCの節
2000年版IBCの実装済みの節 2000年版IBCの省略された節

1617.4.1

1617.4.1.1

1617.4.2

1617.4.2.1

1617.4.3

1617.4.4

1617.4.4.4

1617.4.4.1

1617.4.4.2

1617.4.4.3

1617.4.4.5

1617.4.5

1617.4.6

2003年版IBC

広範囲の基礎として、2003年版IBCコードのドキュメントの1617.4節で説明されている規定が実装されました。この節では、エンジニアにASCE 7の9.5.5節のコードを指示しています。ASCE 7-2002の特定の節番号(実装されているものと実装されていないもの)を次の表に示します。ASCE 7-2002コードの関連ページは、146~149です。

表 3. プログラムで実装および省略された2003年版IBC(ASCE 7-02)の節
2003年版IBC(ASCE 7-02)の実装済みの節 2003年版IBC(ASCE 7-02)の省略された節

9.5.5.2

9.5.5.2.1

9.5.5.3

9.5.5.3.1

9.5.5.3.2

9.5.5.4

9.5.5.5

9.5.5.5.2の一部

9.5.5.5.1

9.5.5.5.2

9.5.5.6

9.5.5.7

設計方法

設計用ベースせん断は、2000年版IBCの式16-34およびASCE 7-02の式9.5.5.2-1に従って計算されます。

V = CsW

地震応答係数Csは、2000年版IBCの式16-35およびASCE 7-02の式9.5.5.2.1-1に従って決定されます。

C s = S D S R / I E

Csは、2000年版IBCの式16-36およびASCE 7-02の式9.5.5.2.1-2で与えられる制限を超える必要はありません。

C s = S D 1 ( R / I E ) T

Csは、2000年版IBCの式16-37およびASCE 7-0の式9.5.5.2.1-3で与えられる下限を下回ってはなりません。

Cs = 0.044 SDSIE

さらに、1秒スペクトル応答S1が0.6g以上である場合、地震応答係数Csは、2000年版IBCの式16-38およびASCE 7-02の式9.5.5.2.1-4で与えられる制限を下回ってはなりません。

C s = 0.5 S 1 R / I E

上記の式で使用されている項の説明は、該当するIBCコードおよびASCE 7-02コードを参照してください。

プログラムで使用される手順

ベースせん断を計算するためのステップは、次のとおりです。

  1. 構造物の時間周期が、2000年版IBCの1617.4.2節およびASCE 7-02(2003年版IBC)の9.5.5.3節に基づいて計算されます。これは、出力においてTaとして報告されます。
  2. 周期もレイリーの方法に従って計算されます。これは、出力においてTとして報告されます。
  3. レイリー法に基づいた周期をオーバーライドするには、IBC荷重の方向に応じてPXまたはPZの 値を指定します。
  4. 構造物の支配的な時間周期は、上記の2つの周期から選ばれます。2000年版IBCの条項1617.4.2、ASCE 7-02(2003年版IBC)の9.5.5.3節、ASCE 7-05(2006年版IBC)の12.8.2.1節に詳細なガイダンスがあります。 結果の値は、"Time Period used"として報告されます。
  5. 設計用ベースせん断は、2000年版IBCの式16-34、ASCE 7-02(2003年版IBC)の式9.5.5.2-1、またはASCE 7-05(2006年版IBC)の式12.8-1に基づいて計算されます。 その計算結果が、2000年版IBCの条項1617.4.3と式16-41および16-42の規定を使用して各床に分配されます。2003年版IBCの場合は、ASCE 7-02の条項9.5.5.4と式9.5.5.4-1および9.5.5.4-2が使用されます。
  6. ACCIDENTALオプションが設定されると、プログラムは追加のねじりモーメントを計算します。ねじりモーメントを計算するための偏心は、IBC荷重の方向に垂直な各床レベルで建築物の寸法の5%として取得されます(2000年版IBCの条項1617.4.4.4、2003年版IBCの場合はASCE 7-02の9.5.5.5.2節)。 重量が作用する各ジョイントで、そのジョイントに作用する横方向の地震力にこの偏心が乗算されて、そのジョイントにおけるねじりモーメントが求められます。

例1

DEFINE IBC 2003 LOAD
SDS 0.6 SD1 0.36 S1 0.31 I 1.0 RX 3 RZ 4 SCL 4 CT 0.032
SELFWEIGHT
JOINT WEIGHT
51 56 93 100 WEIGHT 1440
101 106 143 150 WEIGHT 1000
151 156 193 200 WEIGHT 720

例2

次の例は、プログラムに横荷重を生成させるために必要なコマンドを示しています。詳細については、「TR.32.12 荷重の生成」を参照してください。

LOAD 1 ( Seismic Load in X Direction )
IBC LOAD X 0.75
LOAD 2 ( Seismic Load in Z Direction )
IBC LOAD Z 0.75

例題マニュアルは、IBCとUBCの荷重タイプを含む荷重の生成について説明する例題を含んでいます。