STAAD.Pro Help

TR.31.2.6 中国のGB50011-2010による静的地震荷重

このコマンドセットでは、中国の仕様GB50011-2010(2016年版)に従って静的等価地震荷重を定義および生成できます。この荷重は、UBCの場合と同様の静的等価のアプローチを使用します。この定義により、等価横荷重が水平方向に生成されます。

一般的な書式

次の一般的な書式が、特定の方向に荷重を生成するために使用されます。

DEFINE GB50011 ( 2010 ) (ACCIDENTAL) LOAD
INTENSITY s1 { FREQUENT | FORTIFIED | RARE } GROUP i1 SCLASS i2 (DAMP f1) GFACTOR { 0.85 | 1.0 } (DELN f2) (SF f3) (PX f4) (PZ f5)

指定項目:

Parameter説明
INTENSITY s1 施設の震度(表5.1.4-1を参照)。許容値は6、7、7A、8、8A、または9。7Aは7(0.15g)を表し、8Aは8(0.30g)を表します。
FREQUENT | FORTIFIED | RARE FREQUENTFORTIFIED、またはRAREで指定される地震作用の頻度(表5.1.4-1および条項3.10.3を参照)。
GROUP i1 設計地震グループ(表5.1.4-2を参照)。許容値は1、2、または3。
SCLASS i2 サイトクラス(表5.1.4-2を参照)。許容値は0、1、2、3、または4。0はI0、1はI1、2はII、3はIII、4はIVを表します。
DAMP f1 減衰比(5%減衰の場合のデフォルト = 0.05)
GFACTOR 0.85または1.0で指定される水平地震作用の重力荷重の等価係数(条項5.2.1を参照)。デフォルト値は0.85です。
DELN f2 δn、建物の最上部の追加地震作用係数(デフォルトは表5.2.1から計算)
SF f3 せん断係数λ、床の最小地震せん断係数(デフォルトは表5.2.5から計算)
PX f4 X方向に沿ったオプションの時間周期
PZ f5 Z方向に沿ったオプションの時間周期

GB50011の地震荷重の生成

任意の荷重ケースに荷重を適用するには、次のコマンドを使用します。

LOAD CASE i
GB LOAD { X | Y | Z } (f6) (ACC f7)

指定項目:

Parameter説明
LOAD i 荷重ケース番号
GB LOAD { X | Y | Z } f6 水平地震荷重に乗算するオプションの係数。
ACC f7 想定外ねじりの拡大係数であり、想定外ねじり荷重に掛けられます(デフォルト=1.0)。負の値を指定できます(負でない場合は、生成される横荷重の方向に基づいて、MYのデフォルトの符号が使用されます)。
注記: ACCIDENTALオプションが設定されると、GB仕様に従って不測のねじりが計算されます。不測のねじりの値は、各レベルの"質量中心"に基づきます。"質量中心"は、ユーザーが設定するSELFWEIGHT、JOINT WEIGHT、およびMEMBER WEIGHTにより計算されます。 
注記: 荷重の生成に使用される地震荷重定義の適用に関する詳細については、TR.32.12.2 地震荷重の生成を参照してください。
注記:
  1. トピック「TR.32.12.2 地震荷重の生成」に従って地震荷重を定義している場合、現在は不測のねじりACCのみがサポートされ、DECサポートされていません
  2. ACCIDENTALオプションが設定されると、GB 50011-2001仕様に従って不測のねじりが計算されます。不測のねじりの値は、各レベルの"質量中心"に基づきます。"質量中心"は、ユーザーが設定する自重、ジョイント重量、およびメンバー重量により計算されます。 
  3. 地震荷重ジェネレータを使用して、Y upに対してはXおよびZ方向、Z upに対してはXおよびY方向の横荷重を生成できます。ここで、Y upまたはZ upは、重力荷重の方向に平行な垂直軸です(「TR.5 SETコマンドの設定」のSET Z UPコマンドを参照)
  4. 基礎上の床のすべての垂直座標は正である必要があり、垂直軸は床に垂直である必要があります。
  5. この方法を使用した地震荷重の生成は、せん断変形が支配的で、かつ質量と剛性の分布が高さ方向に一様な40m以下の建物に制限されます。また、一質点系としてモデル化される建物の場合は、この基本せん断法などの簡略化された方法を使用できます。

設計用重力荷重

地震動の計算において、建物の重力荷重の代表値は、構造物とメンバーの重量特性値に構造物上の変動荷重の組み合わせ値を加えたものの合計とみなされます。異なる変動荷重の組み合わせ係数は、次の表のものを使用します。

表 1. GB50011-2010に規定されているさまざまな荷重効果の組み合わせ
変動荷重のタイプ 荷重組み合わせ係数
雪荷重 0.5
屋根上ダスト荷重 0.5
屋根上活荷重 対象外
実状に従って計算される床上活荷重 1.0
等価な一様状態として計算される床上活荷重  書庫、ファイル保管庫 0.8
その他の民間建物 0.5
クレーン吊下げ物体の自重  ハードフック 0.3
ソフトフック 対象外

地震影響係数

これは、震度、サイトクラス、設計地震グループ、および構造の固有周期と減衰比に基づいて、建物構造物に対して決定されます。水平方向地震影響係数の最大値は、表5.1.4-1のとおりです。また、特性周期は、サイトクラスと設計地震グループに従って表5.1.4-2のとおりとし、稀な地震では0.05秒増加します。

表 2. GB50011-2010に規定されている地震影響係数
地震影響係数 震度6 震度7 震度8 震度9
発生頻度の高い地震 0.04 0.08 (0.12) 0.16(0.24) 0.32
強い地震

(条項3.10.3の規定)

0.12 0.23 (0.34) 0.45 (0.68) 0.90
稀に発生する地震 0.28 0.50(0.72) 0.90(1.20) 1.40
注記: 括弧内の値は、設計用基本地震加速度が0.15g(コマンドでは7Aに等しい)と0.30g(コマンドでは8Aに等しい)の場合に別々に使用されます。
表 3. GB50011-2010に規定されている特性周期
地震グループ サイトクラス
I0 I II III IV
1 0.20 0.25 0.35 0.45 0.65
2 0.25 0.30 0.40 0.55 0.75
3 0.30 0.35 0.45 0.65 0.90

地震影響係数の計算

設計用ベースせん断は、次の方程式に従って計算されます。

建物の地震影響係数曲線(図2.1)上の減衰の調整と形状のパラメータは、以下の要求に従う必要があります。

  1. 建築構造物の減衰比は、特に規定のない限り0.05を選択し、地震影響係数曲線の減衰調整係数は1.0を選択して、形状係数は以下の規定に従います。

    1. 周期(T)が0.1s未満の線形増加区域
    2. 周期が0.から特性周期までと考えられる水平区域は、最大値(αmax)を選択します。
    3. 周期が特性周期からその5倍までと考えられる曲線減少区域では、指数(γ)は0.9を選択します。
    4. 周期が特性周期の5倍から6秒までと考えられる線形減少区域では、傾斜調整係数(η1)は0.02を選択します。

    地震影響係数曲線

  2. 建物の減衰の調整と地震影響係数曲線の形状パラメータは、以下の要求に従う必要があります。

    1. 曲線減少区域の指数は、次の式に従って決定されます。

      γ = 0.9 + 0.05 ζ 0.3 + 6 ζ
      意味
      γ
      =
      曲線減少区域の指数
      ξ
      =
      減衰比
    2. 線形減少区域の傾斜の調整係数は、次の式から決定されます。

      η 1 = 0.02 + 0.05 - ζ 4 + 32 ζ
      意味
      η1
      =
      線形減少区域の傾斜の調整係数。0未満は0とする。
    3. 減衰調整係数は次の式に従って決定されます。

      η 2 = 1 + 0.05 ζ 0.08 + 1.6 ζ
      意味
      η2
      =
      減衰調整係数。0.55より小さい場合は0.55とする。

水平地震作用の計算

水平地震作用の特性値

ベースせん断法が使用される場合、各層において1自由度のみが考慮され、構造の水平地震作用の特性は、次の式によって決まります。

F E k = α 1 G e q E2.4
F i = G i H i j = 1 n G j H j F E k ( 1 δ n ) E2.5
Δ F n = δ n F E k E2.6

水平地震作用の計算

意味
FEk
=
構造の総水平地震作用の特性値
α1
=
構造の基本周期に対応する水平地震影響係数であり、条項5.1.4、5.1.5を使用して決定されます。基部フレームまたは内部フレームを持つ多層組積建物、および多層煉瓦建物の場合は、水平地震影響係数の最大値が採用されます。
Geq
=
構造の等価総重力荷重。構造が一質点系としてモデル化される場合、総重力荷重の代表値が使用されます。また、構造が多質点系としてモデル化される場合は、総重力荷重の代表値の85%を使用できます。
Fi
=
i番目の質点に作用する水平地震作用の特性値
Gi, Gj
=
それぞれ、i番目、j番目の集中質点の重量の代表値であり、条項2.1によって決まります。
Hi, Hj
=
それぞれ、建物基部からi番目j番目の質点までの計算された高さ。
δn
=
建物頂部における付加的な地震作用係数。多層鉄筋コンクリート建物の場合は、表2.4から採用されます。それ以外の建物については考慮する必要はありません。
ΔFn
=
建物頂部における付加的な水平地震作用。
表 4. 建物頂部における付加的な地震作用係数(GB50011の表5.2.1)
Tg (s) T1 > 1.4Tg T1 ≤ 1.4Tg
Tg ≤ 0.35 0.08T1 + 0.07 0
0.35 < Tg ≤ 0.55 0.08T1 + 0.01
Tg > 0.55 0.08T1 − 0.02
注記: T1は構造の基本周期です。

水平地震せん断力の検証

構造の各床レベルにおける水平地震せん断力は、次の式の要求に従います。

V E k i > λ j = 1 n G j E2.7
意味
VEki
=
水平地震作用の特性値に対応するi層のせん断力。
λ
=
せん断係数であり、表2.5の値以上になります。垂直方向に不規則な構造の弱い部分に対しては、これらの値に拡大係数1.15が乗算されます。
Gj
=
構造のj番目の床の重量の代表値。
表 5. GB50011-2001に規定されている床レベルの最小地震せん断係数の値
構造 震度6 震度7 震度8 震度9
明確なねじり効果のある、または基本周期が3.5秒未満の構造 0.008 0.16 (0.024) 0.032 (0.048) 0.064
基本周期が5.0秒を超える構造 0.006 0.012 (0.018) 0.024 (0.032) 0.040
注記:
  1. 基本周期が 3.5秒と5秒の間の構造に対しては、内挿法によって値を選ぶことができます。
  2. 括弧内の値は、それぞれ、基本地震加速度が0.15gと0.30gの領域において使用されます。

注記

  1. 斜め方向の横力抵抗メンバーを持ち、直交主軸に対する角度が150を超える構造では、それぞれの横力抵抗メンバー方向の水平地震作用を考慮します。そのため、設計力として斜めメンバーの作用をこの係数で割り増すことによって、このことが考慮されます。
  2. 偏心度:UBCコードと同様です。各床上の重心の偏心値は、ei = ±0.05Li,

    意味
    ei
    =
    i番目の床の重心の偏心値。
    Li
    =
    計算された建物の層の最大幅。
  3. 質量と剛性の分布が明らかに非対称である構造では、直交水平2方向の両方の地震作用によって生じるねじりの効果を考慮する必要があります。他の構造では、地震効果法を調整するといった簡略化された方法によって地震のねじり効果を考慮することが許容されます。

入力例

DEFINE REFERENCE LOADS 
LOAD R1 LOADTYPE Dead  TITLE DL 
JOINT LOAD 
2 3 5 6 8 9 11 TO 16 FY -70 
END DEFINE REFERENCE LOADS 
DEFINE GB50011 2010 LOAD 
INTENSITY 6 RARE GROUP 3 SCLASS 0 GFA 0.85 PX 0.4 
REFERENCE LOAD Y 
R1 1.0  
LOAD 1 LOADTYPE Seismic  TITLE EL-X DIR 
GB50011 LOAD X 1