TR.26.2 メンバーとエレメントに対する定数の設定
このコマンドは、メンバーとエレメントの個々の材料特性(弾性係数、ポアソン比、密度、熱膨張係数、および材料減衰)を設定する際に使用されます。さらに、このコマンドは、メンバーの方向(BETA角、またはREFERENCEポイント/ベクトル)を設定する際にも使用されます。
一般的な書式
CONSTANTS
向きの定義:
BETA { f5 | ANGLE | RANGLE } MEMBER memb/elem-list
{ REF f8 f9 f10 | REFJT f11 | REFVECTOR f12 f13 f14 } MEMBER memb/elem-list
材料特性の定義:
MATERIAL name { MEMBER member/element-list | (ALL) }
または
{ E f1 | G f2 | POISSON f3 | DENSITY f4 | ALPHA f6 | CDAMP f7 } { MEMBER memb/elem-list | BEAM | PLATE | SOLID | (ALL) }
指定項目:
- name = DEFINE MATERIALコマンドにより設定される材料名(「TR.26.1 材料の定義」を参照)。
{ REF f8 f9 f10 | REFJT f11 | REFVECTOR f12 f13 f14 } MEMBER memb/elem-list
指定項目:
- memb/elem-list = MEM、BEA、PLA、SOL、ALL。MEMのみリストを後に続けることができます。設定しない場合のデフォルトはALLです。ALLは、すべてのメンバーとエレメントを意味します。BEAは、すべてのメンバーを意味します。PLAは、すべてのプレートを意味します。SOLは、すべてのソリッドを意味します。
パラメータ | 値 | 説明 |
---|---|---|
E | f1 | 弾性係数E(すなわち、ヤング係数)を設定します。この値は、定数リスト内の各メンバー/エレメントに対して、POISSONの前に与えられる必要があります。 |
G | f2 | せん断弾性係数Gを設定します。ポアソン比が0.01~0.499の間にない場合、はりのみに対して入力してください。 |
POISSON | f3 | ポアソン比υを設定します。この値は、せん断弾性係数の計算に使用されます(G = 0.5xE/(1+υ))。 |
DENSITY | f4 | 単位体積あたりの重量γを指定します。 |
ALPHA | f6 | 熱膨張係数 |
CDAMP | f7 | CDAMPが指定されている場合の動的解析における合成減衰法によるモーダル減衰の計算に使用される減衰比。減衰は、0.001~0.990の範囲にある必要があります。 |
BETA | f5 | メンバー回転角を度で設定します(「G.4.3 Relationship Between Global and Local Coordinates」を参照)。 |
次の値は、形状に基づいてBETA角を定義するために各種方法において使用されます。
- f8、f9、f10 = 参照点用の全体座標X、Y、およびZ
- f11 = 参照点用にf11の位置を使用し、それによりBETA角がSTAAD.Proにより計算されます。
- f12, f13, f14 = ローカルy軸に沿った参照ベクトルを設定。メンバーの始点ノードからビームのローカルX軸方向にf12、ローカルY軸方向にf13、ローカルZ軸方向にf14の距離だけ移動して、参照ベクトルの終点ノードを定義します(これにより、BETA角はローカルy軸と参照ベクトルの間のなす角です)。
BETA ANGLEとRANGLEの使用
シングルアングルの断面は、デフォルトの主軸により方向が決まります。脚が全体座標軸に平行になるようにそれらを方向付ける必要がある場合は、BETA設定を使用する必要があります。STAAD.Proは、この目的のために次の追加の設定を提供します。
上記オプションの両方とも、脚が全体座標軸に平行な方向となります。ANGLEオプションは、断面を反時計回りに角度αで回転させます(α = アングルの主軸座標系と幾何学座標系の間の角度)。RANGLEオプションは、断面を時計回りに(180° - α)に等しい角度で回転させます。不等辺アングルに対しては、要求される方向に基づいて正しいオプションが使用される必要があります。
組み込み材料定数
E、G、POISSON、DENSITY、ALPHA、およびCDAMPに対しては、組み込み材料名がf1の値の代わりに入力可能です。組み込み名とは、STEEL、CONCRETE、およびALUMINUMです。組み込み名に対しては、適切な値が自動的に割り当てられます。
定数 | 材質 | 単位 | ||
---|---|---|---|---|
スチール | コンクリート | アルミニウム | ||
E(US) | 29,000 | 3,150 | 10,000 | Kip/in2 |
ポアソン比 | 0.30 | .17 | .33 | (比率) |
密度 | .000283 | .0000868 | .000098 | Kip/in3 |
アルファ | 6.5E-6 | 5.5E-6 | 12.8E-6 | L/L/° F |
CDAMP | .03 | .05 | .03 | (比率) |
E(US以外) | 29,732.736 | Kip/in2 |
例1
DEFINE MATERIAL ISOTROPIC CFSTEEL E 28000. POISSON 0.25 DENSITY 0.3E-3 ALPHA 11.7E-6 DAMP 0.075 END MATERIAL CONSTANTS MATERIAL CFSTEEL MEMB 1 TO 5 CONSTANTS E 2.1E5 ALL BETA 45.0 MEMB 5 7 TO 18 DENSITY STEEL MEMB 14 TO 29 BETA 90 MEMB X
例2
REFVECTORコマンドは次の例のように使用されます。
REFVECTOR 0 2 1 MEMBER 27 TO 32
このコマンドは、X軸に平行なメンバーすべてのBETAを90°に設定し、プログラムに次のことを実行するように指示します。
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ベータ=0であるはりのローカルX、Y、Z座標軸の設定
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参照ベクトルの始点ノードをメンバーの始点ノードと同じに設定
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参照ベクトルの始点ノードからはりのローカルX軸方向に0、ローカルY軸方向に2、ローカルZ軸方向に1の距離だけ移動。これは参照ベクトルの終点ノードを規定します。
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ステップ3の終わりでは、参照ベクトルの始点ノードも終点ノードも既知です。これはメンバーのローカルY軸の最終的な方向です。
ベータ0であるローカルY軸は既知なので、はりの最終的な位置に相当するローカルY軸はステップ4で規定され、ベータ角はこれら2つのベクトルの間の角として計算されます。
この例では、角度は Tan-1(1/2) = 26.5651 度です。
注記
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Eの値は、各メンバー/エレメントに対する定数リストにおいて最初に与えられる必要があります。
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すべての数値は、現単位系で与えられる必要があります。
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温度、またはALPHAの単位を設定することは不必要であり、不可能です。ALPHA用に与えられた値が、温度用に与えられた値と整合していることを確認する必要があります(「TR.32.6 メンバー、プレート、およびソリッドに対する温度荷重の設定」を参照)。
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Gが設定されておらず、ポアソン比(υ)が設定されている場合、Gは E/[2 (1+υ)]として計算されます。
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Gもポアソン比も設定されていない場合、ポアソン比がEに基づいて仮定され、それからGが計算されます。
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Gとポアソン比の両方が設定されている場合、Gの入力値が使用されます。つまり、この場合はGは計算されません。
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プレート要素の剛性マトリックスのように、解析においてGとポアソン比の両方が必要な場合、Gが設定されてポアソン比が設定されていないと、ポアソン比が [(E/2G) –1]として計算されます。
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解析で使用されるこれらの項目のレポートを得るには、PRINT MATERIAL PROPERTIESコマンドを設定してください。