MicroStation CONNECT Edition ヘルプ

ラスター線種の例

この例では、スケッチ線種として使用される単純なストロークを作成します。この作業フローの主な利点は、PDFへの印刷や旧バージョンのMicroStationなど、ラスター線種がサポートされていない場合に使用できるベクトルベースの点記号も作成できること です。

デザインファイルの設定

  1. シードファイル3D Imperial Design.dgnを使用して、my_stroke.dgnという名前のDGNファイルを作成します。
  2. 「デザインファイルの設定」ダイアログボックス(「ファイル」 > 「設定」 > 「ファイル」 > 「デザインファイルの設定」)を開きます。
  3. 「作業単位」セクションで次のように設定します。
    • フォーマット - MU
    • 主単位 - インチ
    • 下位単位 - インチ
    • 精度 - 0.1234
  4. 「デザインファイルの設定」ダイアログボックスの「グリッド」セクションで、次のように設定します。
    • グリッドマスター - 0.1250
    • グリッド参照 - 8
  5. 「OK」をクリックします。
  6. 次の手順を使用して、背景色を白に変更します。
    1. 「色テーブル」ダイアログボックス(「ファイル」 > 「設定」 > 「ファイル」 > 「色テーブル」)を開きます。
    2. カラーテーブルの右下隅にある"「B」"をダブルクリックし ます。
    3. 表示される「色を修正」ダイアログボックスで、「赤」「緑」、および「青」の各フィールドに「255」と入力します。
      白色が選択されていることを確認します。
    4. 「OK」をクリックします。
    5. 「色テーブル」ダイアログボックスで「アタッチ」をクリックします。
  7. 「ファイル」タブで「設定値を保存」をクリックします。

ストロークパターンの作成

ラスターのベースラインと既知の尺度を取得するために、ブラシストロークが最大で長さ約4インチ(100mm)、幅約½インチ(12mm)になると仮定しましょう。

最初に、次の手順を使用して、ラスタライズ(レンダリング)できる図形の作成に役立つ2本のガイド線を描画することができます。
  1. 上面ビューにビューウィンドウを設定します。
  2. 「線分を配置」ツール(「作図」 > 「ホーム」 > 「配置」 > 「線分を配置」)を起動します。
  3. <Enter>を押してキー入力ウィンドウを開きます。
  4. キー入力ウィンドウで「XY=0」と入力し、<Enter>キーを押します。

    線の最初の端点が基準点に配置されます。

  5. 「線分を配置」ツール設定値ウィンドウで、「長さ」フィールドに「4」、「角度」フィールドに「0」と入力します。
  6. データ点を入力して、線分を配置します。
  7. 「平行移動/コピー」ツール(「作図」 > 「ホーム」 > 「操作」)を今すぐ起動します。
  8. ツール設定値ウィンドウで、次のように設定します。
    • 方法 - 要素
    • モード - 留継ぎ
    • 距離 - 0.5
    • コピーを作成 - オン
  9. 線分要素を選択し、線の上にデータ点を入力して線のコピーを0.5インチの距離に配置します。
ストロークパターンを描画しましょう。
  1. 「点によるB-スプライン」ツール(「作図」 > 「ホーム」 > 「配置」 > 「曲線を作成」分割ボタン)を起動します。
  2. ツール設定値ウィンドウで、次のように設定します。
    • 方法 - 制御点
    • 点列入力 - 点(AccuDraw)
    • 開/閉 - 閉じた
    • 順序 - 4
    • 塗り潰しタイプ - べた塗り
  3. 次に示すように、5つの制御点を使用して、閉じたB-スプラインを配置します。最初はおおまかに配置し、後でハンドルを操作して目的の形状にすることができます。
  4. 「ビュー制御」ツールバーから「ビュー属性」を選択し、表示される「ビュー属性」ダイアログボックスで「塗り潰し」トグルをオンにします。

    図形が作成されます。

図形のラスタライズ

Vueでレンダリングすることで、図形のラスターバージョンを作成しましょう。
  1. まず、次に示すように、図形がビューに収まるようにビューのサイズを変更します。これにより、後でラスターを切り取る必要がなくなります。
  2. 「Vueレンダリング」ダイアログボックス(「ビジュアリゼーション」 > 「ホーム」 > 「レンダリング」 > 「シーンをレンダリング」)を開き、次のように設定します。
    • レンダリングモード - レイトレーシング
    • 光源の設定 - 午後
    • 大気設定 - なし
    • レンダリング設定 - Exterior Better
    • 「解像度X」を512に設定します。
  3. 「Vueレンダリング」ダイアログボックスで「レンダリング」ボタンをクリックします。
  4. レンダリングが完了したら、「明るさ」スライダを左端まで動かして、ストロークが濃くきれいに見えるようにします。
  5. 「画像をファイルに保存」アイコンをクリックします。
  6. 「Vueレンダリング」ダイアログボックスで「画像をファイルに保存」を選択し、「ファイルの種類」を「PNG」に設定してmy_stroke.pngという名前を付けます。
  7. 「保存」をクリックします。

線種リソースファイルの作成

カスタム線種を持つ線種リソースファイルを作成しましょう。
  1. 「線種エディタ」ダイアログボックス(「作図」 > 「ホーム」 > 「属性」 > 「線種」 > 「管理」)を開きます。
  2. 「線種エディタ」ダイアログボックスで「ファイル」 > 「新規」を選択して、「線種ライブラリを作成」ダイアログボックスを開きます。
  3. 「線種ライブラリを作成」ダイアログボックスで、カスタム線種を保存するフォルダに移動し、ファイルにMy_LineStyles.rscという名前を付けます。
  4. 「保存」をクリックします。
  5. 「線種エディタ」ダイアログボックスで「ファイル」 > 「保存」を選択して、新しく作成されたリソースファイルを保存します。
このリソースファイルは、MicroStationで読み取る必要があります。そのためには、次の手順を使用して、MS_SYMBRSC構成変数が新しく作成されたリソースファイルの場所を指すようにする必要があります。
  1. 「構成変数」ダイアログボックス(「ファイル」 > 「設定」 > 「構成」 > 「構成変数」)を開きます。
  2. 「線属性」カテゴリを選択し、構成変数の一覧からMS_SYMBRSC構成変数をダブルクリックします。
  3. 「構成変数を編集」ダイアログボックスで新しい.rscファイルのパスを追加します。
    ヒント: この場所から複数のリソースファイルを読み取る場合は、特定のファイル名を追加するのではなく*.rscを使用してワイルドカードのように追加できます。たとえば、C:\Users\<user.name>\Documents\LineStyles\*.rscとなります。
  4. 「OK」をクリックして「構成変数を編集」ダイアログボックスを閉じ、もう一度 「OK」をクリックして「構成変数」ダイアログボックスを閉じます。
  5. ポップアップ表示される「警告」ウィンドウで「はい」をクリックします。
  6. クイックアクセスツールバーで「設定値を保存」をクリックし、MicroStationを終了して再起動します。

新しい線種の作成

ラスターベースの線種を作成しましょう。
  1. my_stroke.dgnを開きます。
  2. 「線種エディタ」ダイアログボックス(「作図」 > 「ホーム」 > 「属性」 > 「線種」 > 「管理」)を開きます。
  3. 「ファイル」 > 「開く」を選択して「線種ライブラリを開く」ダイアログボックスを開きます。
  4. 以前に作成したMy_LineStyles.rscを選択し、「開く」をクリックします。
  5. 「編集」 > 「作成」 > 「名前」の順に選択します。

    新しい線種が作成されます。

  6. 「編集」 > 「作成」 > 「ラスター」を選択して、「ラスター線種ファイルを選択」ダイアログを開きます。
  7. my_stroke.pngファイルを保存した場所に移動し、ファイルをダブルクリックして開きます。
  8. 「線種エディタ」ダイアログボックスで、次のように設定します。
    • 白黒 - オン
    • ソース - アルファ
    • 幅 - オンにして0.5に設定
      ヒント: 線種を作成するときは、各線種でどの構成要素が使用されているかがわかるように、線種と構成要素に同じ名前を使用することをお勧めします。
  9. 「編集」 > 「作成」 > 「複合」の順に選択します。
  10. 「構成要素」の下のフィールドで、説明を「新規複合構成要素」から「スケッチブラシ」に変更し、<Enter>を押します。
  11. 「編集」 > 「作成」 > 「名前」の順に選択します。
  12. 「名前」リストボックスの下のフィールドで、「名前なし」を「スケッチブラシ」に変更し、<Enter>を押します。

    リストボックスの名前も「スケッチブラシ」に変更されていることを確認します。

  13. 「複合」(「スケッチブラシ」)を選択し、「挿入」ボタンをクリックして、「構成要素を選択」ダイアログボックスを開きます。
  14. 「構成要素を選択」ダイアログボックスで、リストボックスをスクロールし、「ラスター」の「my_stroke.png」を選択し、「OK」をクリックします。
    「ラスター」ストロークが「線種エディタ」ダイアログボックスの下の「構成要素」セクションに表示されます。
次に、ストロークパターンを作成する必要があります。
  1. 「編集」 > 「作成」 > 「ストロークパターン」の順に選択します。
  2. 「構成要素」の下のフィールドで、説明を「新規ストローク構成要素」から「スケッチブラシ」に変更し、<Enter>を押します。
  3. 「追加」をクリックし、「ストロークパターン」セクションで次のように設定します。
    • 長さ - 「固定」にして隣のフィールドに「4」と入力します。
    • 幅 - なし
    • ストロークタイプ - ダッシュ
    • 始点 - 0
    • 反転位置 - なし
    • 終点 - 0
    • 角 - バイパス
    • 末端処理 - 閉じた
      注記: 長さは主単位であり、拡大/縮小の目的でさまざまな単位のさまざまなデザインファイルで使用されます。この例では、インチでのベースラインを仮定しているため、これは4インチになり、それに応じて拡大/縮小されます。実世界の単位に基づいて拡大/縮小を行うには、線種をDGNにインポートし、DGNLibとして保存します。
    • 「線種エディタ」で「ファイル」 > 「保存」の順に選択し、線種を保存します。

点記号の図形の最適化

ラスター線種の構成要素には、レンダリングされたラスターと点記号が含まれます。先ほど作成した図形を使用して点記号を作成する必要があります。点記号をより効率良く高速に表示するために、閉じたB-スプラインをメッシュに変更し、領域塗り潰しを使用できる複合図形に変更しましょう。
  1. 「要素からメッシュ」ツール(「モデリング」 > 「メッシュ」 > 「作成」)を選択します。
  2. 作成したストロークパターン要素を選択します。
  3. データ点を入力します。

    点記号をソリッドに表示し、メッシュ要素に領域塗り潰しオプションがないようにするには、メッシュを分解して複合図形を作成する必要があります。

  4. 「要素を分解」ツール(「作図」 > 「ホーム」 > 「グループ」 > 「分解」分割ボタン)を起動します。
  5. 「要素を分解」ツール設定値ウィンドウで「ソリッド」チェックボックスをオンにし、隣接するドロップダウンリストから「サーフェス」を選択します。
  6. 要素を選択します。
    要素の上にカーソルを置き、要素のタイプが図形であることをツールチップで確認します。
  7. 要素を右クリックし、「プロパティ」を選択します。
  8. 「プロパティ」ダイアログボックスで「塗り潰し」プロパティの横にあるドロップダウンリストを選択し、ポップアップ表示される色テーブルから「塗り潰しなし」をオフにし、色0を選択します。

点記号を使用したベクトルベースの線種の作成

ラスターベースの線種を作成したら、古いバージョンのMicroStationで線種が表示されるように、ベクトルベースの点記号を追加することをお勧めします。また、場合によっては、PDFの作成などラスター線種がサポートされていないときに、ベクトルベースの線種を使用することもできます。ラスター線種は、速度において優れており、角で変形する機能を備えています。ベクトルベースの線種は非常に近似になりますが、変形できないため、ラスター線種が変形する方法と同一ではありません。
  1. 「線種エディタ」ダイアログボックスで「編集」 > 「作成」 > 「点」の順に選択します。
  2. 「構成要素」の下のフィールドで、説明を「新しい点要素」から「スケッチブラシ」に変更し、<Enter>を押します。
  3. 「セルの基準点を定義」ツール(「作図」 > 「ホーム」 > 「配置」 > 「セル」分割ボタン)を起動します。
  4. 点セルの基準点を0,0で定義します。ここでは、補助座標軸が次のように表示されます。
  5. リセットして、「セルの基準点を定義」コマンドを終了します。
  6. 複合図形を選択します。

    「線種エディタ」ダイアログボックスで、下部にある「作成」ボタンが有効であることを確認します。

  7. 「作成」ボタンをクリックします。
  8. 表示される「点記号を作成」ダイアログボックスで「名前」フィールドに「スケッチブラシ」と入力し、「OK」をクリックします。
  9. 「構成要素」リストボックスから「複合」(「スケッチブラシ」)を選択し、「挿入」をクリックします。
  10. 「構成要素を選択」ダイアログボックスで、リストボックスをスクロールし、「点」(「スケッチブラシ」)を選択し、「OK」をクリックします。
    点記号が複合線種に追加され、「線種エディタ」ダイアログボックスの下の「構成要素」セクションに表示されます。

点記号へのストロークの関連付け

以前に作成した「ストローク」構成要素に点記号を関連付ける必要があります。
  1. 「線種エディタ」ダイアログボックスで、「構成要素」リストボックスから「点」(「スケッチブラシ」)を選択します。
  2. 「基本ストロークパターン」をクリックします。
  3. 「基本ストロークパターン」ダイアログボックスで「スケッチブラシ」を選択し、「OK」をクリックします。

    「基本ストロークパターン」ボタンの下に黒い線が表示されます。

  4. その線をクリックし、「選択」ボタンをクリックします。
  5. 「点記号を選択」ダイアログボックスで「スケッチブラシ」を選択し、「OK」をクリックします。

    「線種エディタ」ダイアログボックスにパターンがプレビューされます。

  6. 「記号位置」ドロップダウンで「左」を選択します。
  7. 「ファイル」 > 「保存」の順に選択して、リソースファイルを保存します。

線種が準備されました。

スケッチブラシ線種のテスト

Patrick Pirtleが作成したYamaha Road Starのサンプルモデルの外形線ファイルにある新しい線種をテストしましょう。既定の実線モデルは次のようになります。

既定の実線

新しい線種をテストするには:
  1. <Ctrl+A>を押してモデル内のすべての要素を選択します。
  2. 「線種」ダイアログボックス(「作図」 > 「ホーム」 > 「属性」 > 「線種」 > 「設定値」)を開きます。
  3. 「線種」ダイアログボックスで、上記の手順で作成した「スケッチブラシ」線種を選択します。
  4. ダイアログボックスで「尺度」チェックボックスをオンにし、隣接するフィールドに尺度「0.1」を入力します。
  5. ダイアログの下部にある線種のプレビューをクリックして、線種をアクティブにします。出力は次のようになります。

    スケッチブラシ

    注記: より手描き風の外観を表示するには、「要素の選択」ツールを使用して、画層で選択し、尺度を変更します。たとえば、「タイヤ」画層を選択し、「尺度」を「0.2」に変更し、「線種」設定値ダイアログボックスでプレビューをクリックし、新しい尺度を使用してアクティブにします。いくつかの画層の尺度を小さくし、いくつかの画層の尺度を大きくしてみてください。

ベクトルベースの線種テスト

以前に作成した点記号を使用した新しい線種をテストするには、ラスター線種の表示をオフにする必要があります。これを行うために、構成変数MS_NO_RASTER_LINESTYLEを設定します。
  1. 「構成変数」ダイアログボックスを開きます。
  2. 「新規」をクリックします。
  3. 「新しい構成変数」ダイアログボックスで、「変数」フィールドに「MS_NO_RASTER_LINESTYLE」と入力し、「新しい値」フィールドに「1」と入力します。
  4. 「新しい構成変数」ダイアログボックスで「OK」をクリックし、「構成変数」ダイアログボックスでもう一度「OK」をクリックします。
  5. ポップアップ表示される「警告」ウィンドウで「はい」をクリックします。
  6. 「ビュー制御」ツールバーの「ビューを更新」ボタンをクリックして、ベクトルベースの線種が表示されていることを確認します。

    ベクトルベース

注記: ラスター線種に戻すには、MS_NO_RASTER_LINESTYLEを「0」に設定します。