作図とモデリング
ここでは、作図とモデリングについて説明します。それぞれのトピックでは、AutoCADの概念またはコマンドを示してから、それに類似するMicroStationコマンドまたは概念について説明します。
ACISおよびパラソリッド3次元モデリングカーネル
AutoCADの3次元モデリングカーネル、ACIS
MicroStationでは、ソリッドモデルをデザインに組み込む際に、パラソリッドという3次元モデリングカーネルが使用されます。ただし、3次元ソリッドを含むDGNファイルをDWGファイルに保存する場合や、3次元DWGファイルをMicroStationで開く場合は、精度と互換性を保証するためにACISカーネルが使用されます。
長方形と共有セル
AutoCADのブロック定義
MicroStationでは、AutoCADのブロックに似た共有セルを使用して、あらかじめ定義したデータブロックを図面に挿入します。共有セルは多数のインスタンスを含むことができますが、DGNファイルに保存される定義は1つのみです。非共有(通常)セルを使用すると、セルを配置するたびにすべての定義が挿入されます。したがって、共有セルを使用すればセルの置換が簡単になり、ファイルサイズも小さくなります。
*.dgnまたは*.celファイルであれば、どのファイルでもセルライブラリとして使用可能であるため、空のファイルを作成してセルを保存することができます。セルを作成すると、セルは図形セルと点セルのいずれかに定義されます。図形セルはその中に含まれる要素の線属性となり、一方点セルは挿入されたときにアクティブな線属性となります。
座標値エントリとアキュドロー
点の正確な位置を取得するためのAutoCADのコマンド行座標入力
MicroStationでは、アキュドローを使用して幾何形状を正確に製図します。アキュドローのオン/オフを切り替えるには、「アキュドロー」リボングループの「アキュドローをオン/オフ」アイコン(コンパス)をクリックします。アキュドローの操作や表示をカスタマイズするには、「アキュドロー設定値」ダイアログボックスを使用します。アキュスナップ機能とアキュドローを併用することにより、効率的かつ正確な製図技術を開発することができます。
アキュドローと製図コマンドをアクティブにしたら、開始データ点を入力し、表示されるコンパスに従って、距離または角度を入力して次の点を設定します。コンパスは正方形のときと円のときがあります。これは、長方形座標系と極座標系のいずれを使用しているかによって異なります。
次の表に、数多くあるアキュドローの便利なショートカットの一部を示します。
分解コマンドと分解ツール
AutoCADのExplodeコマンド
MicroStationでは、 リボングループにあるツールを使用して、要素をより単純な構成要素に分解します。一般的な用途には「部分削除」ツールを使用します。このツールでは一度に1つの画層を操作するため、複数の要素を分解するには何度も操作する必要があります。またこのリボングループには、特定の要素のタイプに使用する特定の分解コマンドも含まれます。
外部参照と参照
AutoCADのXREF
MicroStationでは、現在の図面ファイルにアタッチされた外部ファイルを参照と呼びます。「参照」ダイアログボックスには、参照のアタッチと操作に関するすべてのコマンドが含まれています。
グリップとハンドル
AutoCADの選択オブジェクトのグリップ
MicroStationでは、要素を選択すると、ハンドルが表示されます。ハンドルを使用すると、要素(オブジェクト)を引き伸ばすことができます。ハンドルを非表示にするには、「要素の選択」設定値ウィンドウで「ハンドルを無効化」をオンにします。
ハンドルには関連する右クリックメニューがないため、要素の移動に使用することはできません。要素をドラッグするには、ハンドルから離れた場所にデータ点を入力し、ポインタを目的の位置にドラッグします。
BHatchとパターニングツール
AutoCADのBHatchコマンド
MicroStationでは、「ハッチング:要素内」ツールを使用して、定義した角度と間隔で傾斜した線分の塗り潰しパターンを生成します。このツールには、関連するパターンのパレットはありません。傾斜した線分のバリエーションは領域パターンと呼ばれ、「領域をパターン」ツールで生成されます。「領域をパターン」を使用すると、現在アタッチされているライブラリのセルが、繰り返しパターンとして選択されます。ダイアログボックスの「方法」リストに表示される繰り返しパターンについては、アプリケーションのモードに注意してください。
「パターン」リボングループでは両方のパターン塗り潰しツールが使用可能です。
オブジェクトの選択
AutoCADの黙示的なウィンドウ操作
MicroStationでは、選択セットを指定してから、要素(オブジェクト)を操作することができます。要素を選択するには、以下のような方法があります。
- 「要素の選択」ツール(ポインタ)を使用して個々の要素を選択するか、ツールを選択して長方形(ウィンドウ)をドラッグし、複数の要素を囲みます。<CTRL>キーを押しながら要素を選択すると、要素を選択セットに追加したり、すでに選択した要素の選択を解除したりすることができます。
- 「枠を配置」ツールを使用します。枠は、図形を設定したり、中に含まれる要素(完全に枠の中に入る、重なり合うなど)を決定したりできる永続的なウィンドウです。
- 要素の名前付き図形グループを使用します。名前付きグループを使用すると、グループに入れる複数の要素を選択することや、変更内容をグループ全体に反映させるか個別に反映させるかを選択することができます。
オブジェクトスナップとアキュスナップ
AutoCADのOスナップと追跡
MicroStationでは、アキュスナップを使用して、幾何形状の作図の正確な点を選択します。アキュスナップがアクティブな場合(既定ではオンです)、要素およびキーポイントの上に黄色い"X"がハイライト表示されます。MicroStationには要素(オブジェクト)のスナップ追跡機能はありませんが、アキュスドローをアクティブにすると、アキュドローのコンパス(通常はXまたはY)上の軸をカーソルが追跡します。アキュスナップの見出しと設定値のオン/オフは、 リボングループにあります。
オーバーレイ
AutoCADのオーバーレイタイプの参照ファイル
MicroStationでオーバーレイタイプの参照ファイルを作成するには、「参照ファイル設定値」ダイアログボックスの「ライブネストの場合参照ファイルを無視」設定をオンにします。
MicroStationでは参照ファイルのネストを詳細に制御することができます。制御できるオプションには、ネストの奥行きの設定、ネストなし、オーバーレイと同値のネストなどがあります。この設定値を使用すると、参照ファイルをネスト(深さが何層にもなる場合あり)したときに表示されるデータを正確に選択することができます。
プロパティ
AutoCADのプロパティウィンドウ
MicroStationでは、「本図」リボングループの「プロパティ」ツールを使用して、選択した要素の一般的な属性やプロパティのフィードバックと、より詳細な情報を得ることができます。画層、色、線種、線幅、およびクラスなどの「全般」タブの情報は、ダイアログで編集できます。
ユーザー座標系(UCS)と補助座標系
AutoCADのUCSコマンド
MicroStationでは、ファイルの既定の方向および基準点以外の座標系を「補助座標系」(ACS)と呼びます。補助座標系を定義するには、 リボングループで要素、点、またはビューを使用します。
補助座標軸のオン/オフを切り替えるには、「ビュー属性」ダイアログボックスを使用します。
補助座標系に名前を付けて保存するには、「補助座標」ダイアログボックスを使用します。