MicroStation CONNECT Edition ヘルプ

「レイトレーサ」タブ

一般セクション



設定説明
出力チャンネル レンダリング出力を選択できます。有効にすると、選択したチャンネルに対して、レンダリングエンジンによって別のチャンネルがレンダリングされます。レンダリングが完了すると、「レンダリング」ダイアログボックスの「保存」オプションを使用して、選択したチャンネルをファイルに保存できます。
注記: 色とアルファは、レイトレーシング中は常にレンダリングされ、すべてのレイトレーシングレンダリング設定で常に有効になっています。
次の画像で赤でマークされたチャンネルは、パストレーサではサポートされていません。


反射 レイトレースされたレンダリングでの反射光のトレース方法を決定します。
  • 反射深度 - この設定によって、反射が表示される回数が決まります。たとえば、鏡のセットを使用して幾何的なパターンを示す万華鏡を想像してみてください。




    上: 反射深度 = なし | 下: 反射深度 = 4

屈折 レイトレースされたレンダリングでの屈折光のトレース方法を決定します。
  • 屈折深度 - 屈折光が終了するまでに通過する透明な面の数を制御します。いくらかの厚みを持つモデリングされたガラス窓は、2つの透明な面と屈折深度の設定値2で構成されます。同様に、光が正確にモデリングされたガラスびんを通過するには、屈折深度が4である必要があります。2本のびんを1列に並べると、屈折深度は、両方のびんを透かして見るには8である必要があります。液体を追加すると、2つの透明な平面が追加され、液体の入った2本の瓶を透かして見るには、屈折深度が12である必要があります。屈折深度の設定が小さすぎる場合、屈折光が早期に終了した位置に黒色のピクセルが生成されます。次のレンダリングでは、レンダリング時に屈折深度設定の効果を確認することができます。このテストケースでは、結果として生成された黒いピクセルによる屈折光の早期終了を回避するには、屈折深度が12以上である必要があります。








    上から下へ、屈折深度は5、8、12、16

曲線近似許容差 レンダリングの前に曲面をいくつの三角形に分割するかを制御します。この値が小さいほど結果はスムーズになりますが、レンダリング時間は長くなります。曲面近似許容差は、ピクセルまたは物理単位で定義できます。曲線近似許容差は、メートルまたはピクセルの単位で距離として設定できます。後者が使用されている場合、結果はビューに依存します。つまり、レンダリング時にカメラが曲面に近づくと、カメラが遠くにあるときよりも曲線近似許容差は小さくなります。


左から右に、曲線近似許容差は5、0.5、0.1

被写界深度 有効にすると、カメラのぼかしが被写界深度の効果の模倣に使用されます。これは、オーバーヘッドが非常に少ない後処理として実行されます。焦点は、焦点距離に基づいていて、視点からカメラの被写体までの距離です。
ぼかし 「被写界深度」が有効なときに適用されるぼかしの量を示していて、値は100%を超えることができます。
ぼかしレンダリング手法 オプションには、分散レイトレーシング、ハイブリッド2.5D、およびファストハイブリッド2.5Dがあります。
  • 分散レイトレーシング - モーションブラーと被写界深度のレンダリングに使用します。この方法は、ピクセルあたりのサンプル数が増加するとき、正確な解に収束する物理的に正確な方法です。
  • ハイブリッド2.5D - 完全にノイズのない、計算が非常に高速な方法です。計算時間は、シーンの複雑さにはあまり依存しません。
    注記: ハイブリッド2.5Dは、このアルゴリズムの動作方法のために、ネットワークレンダリングと互換性がありません。ネットワークレンダリングを有効にすると、分散レイトレースのぼかし方法が適用されます。
  • ファストハイブリッド2.5D - 被写界深度生成のための新しいアルゴリズムを使用します。これは、ハイブリッド2.5Dのような画像のぼかしに基づいていますが、より高速な色拡散アルゴリズムを使用して、分散レイトレーシングと連動して動作します。通常、分散しているすべてのレイトレースノイズを平滑化するには、複数のパスが必要になります。ファストハイブリッド2.5Dの内部には、体系的なオブジェクトアンチエイリアスが組み込まれています。したがって、アンチエイリアスの設定は被写界深度の設定とリンクしています。つまり、体系的なアンチエイリアスのみが使用可能になり、ピクセルあたり最小数の光線が被写界深度パスの数に等しくなります(どちらを変更しても両方の値が変更されます)。




カメラ投影 オプションは、「ビューから」、「球形」、「円筒形」です。パノラマ画像をレンダリングする場合は、5000 x 2500または10000 x 5000ピクセルなどの推奨する2:1のアスペクト比の円筒形または球形を使用できます。
選択すると、影がレンダリングされます。
既定の光源を無視 有効にすると、既定の光源を無視します。
開いた要素と文字を無視 有効にすると、文字と開いている要素のレンダリングが阻止されます。既定では、このオプションが有効になっています。
ビュー外側で図形をレンダリング 有効にすると、シーン全体がレンダリングエンジンに確実に送信されます。有効にしていない場合は、カメラの背後にある一部の図形がレンダリングされないことがあります。カメラのビュー円錐台と交差する図形は、常に含まれます。
物理的に正確なコースティックを演算 有効にすると、レンダリングエンジンによってコースティック効果がレンダリングされます。コースティックの精度は、使用するコースティックフォトンの数を増やすことで向上させることができます。




上: コースティクスなし | 下: コースティクスあり

PBR材質を従来と同等としてレンダリング 有効にすると、PBR材質は従来の材質に変換され、レンダリング時にレイトレーサに送信されます。

「アンチエイリアス」セクション

アンチエイリアスは、オブジェクトまたはテクスチャのエッジの階段効果(ピクセル化)を減らすために使用する方法です。エイリアスは、オブジェクトの境界線に沿って表示され、またテクスチャマップでの急激な色の遷移とともに表示されます。オブジェクトアンチエイリアスでは、各ピクセルを複数回再サンプリングすることで、画像の滑らかさが改善されます。


設定説明
アンチエイリアス方法 ここでは、さまざまなアンチエイリアスサンプルを最終的なピクセルに振り分ける分量を制御します。
  • 自動 - レンダラは、各シナリオで最も適した方法、すなわち、静止画のレンダリングにはシャープな方法を、アニメーションのレンダリングにはソフトな方法を使用します。
  • 鮮明 - レンダラは、細部まで鮮明な画像を生成しますが、レンダリングのノイズを除去するために、サブ光線の数を手動で増すことが必要な場合があります。
  • シャープ - 静止画のレンダリングに適しています。ノイズを効率的に縮小しながら、比較的鮮明な結果を生成します。
  • ソフト - 多少ぼやけた(その結果、ノイズの少ない)フィルタリングの方法で、通常はアニメーションのレンダリングに最適です。
  • ぼかし - 特定のタイプのアニメーションに適したぼやけた結果を生成します。
アンチエイリアス処理した最小サンプル スーパーサンプリングされたピクセル内に最初に送信される光線の数を制御します。レンダリングエンジンで、より多くのアンチエイリアス光線が必要であると判断された場合、そのピクセルに送信される光線の合計数が「アンチエイリアス処理した最大サンプル」設定に達するまで、新しい光線のバッチが送信されます。
アンチエイリアス品質 最初のバッチを計算した後に、さらなる光線が必要かどうかをレンダリングエンジンが決定する方法を制御します。設定値が大きいほど、より頻繁にサブ光線がピクセルに送信されます。これは、色ベースのアンチエイリアスです。現在のピクセルと隣接するピクセルの色の差がしきい値(コントラスト設定値)より小さい場合、アンチエイリアスが適用されます。言い換えると、この値を大きくすると、レンダラはピクセルと周囲の色の違いに敏感になり、新しいサブ光線を計算する必要があるかどうかを判断します。このことは、シーン内のすべてのピクセルに適用されます。
図形の品質

これはエッジベースのアンチエイリアス設定値です。オブジェクトIDと深度をチェックします。これにより、レンダラは各ピクセルの周囲の図形の差異にのみ敏感になります。したがって、たとえば、これを100%に設定し、コントラストを0%に設定した場合、オブジェクトのエッジのみがさらに多くの光線を受け取ります。3次元オブジェクトの雲と滑らかな部分は、アンチエイリアス処理はされません(波状の水面でも)。逆に、コントラストを100%に設定すると、「図形」設定値によってレンダリングの画質は向上しません。「図形」設定は、手動で最適化を行う方法であり、必要のないサブ光線の再計算は回避します。

明らかに、これらの3つの設定値が高いほど、品質は向上しますが、レンダリング時間は長くなります。下の画像では、左のレンダリングはアンチエイリアスがオフであり、右のレンダリングは「最小サンプル4」、「最大サンプル32、アンチエイリアス品質90%」で、「Exterior Extreme」を使用しています。





上:アンチエイリアス = オフ | 下: アンチエイリアス = Extreme

標準サブピクセルサンプリング 有効にすると、サブ光線の最初のバッチ内の光線の配置は、画像内のすべてのピクセルの場合と同じになります。有効になっていない場合、サブ光線は各ピクセルでランダムにキャストされます。
テクスチャフィルタリング

シーン内の材質に適用される自動ぼかしの量を制御します。この設定を使用すると、レンダリングの全体的な「鮮明さ」を制御できます。最適な結果を得るには、この設定を「アンチエイリアス方法」の設定とともに使用する必要があります(上記を参照)。テクスチャフィルタリングは、既定では、「Interior Better」および「Exterior Better」レンダリングの設定以上から「Extreme」レンダリングプリセットまでで有効になっています。

テクスチャマップの場合、ソフトウェアは画像の解像度の低いバージョンを自動的に生成し、遠方から見る場合には、オリジナルの解像度のテクスチャマップではなく、自動生成したバージョンを使用します。

注記: アニメーションをレンダリングするときには、ある程度のテクスチャフィルタリングを使用することをお勧めします。

全体照明

このセクションでは、使用されている全体照明モデルを含めて、レイトレーサによって使用される全体照明に影響するさまざまな設定を変更できます。MicroStationのVUEレンダリングエンジンでは、3つの照明モデルが使用されています。それらは、全体的な周囲の環境、周辺光閉塞、およびグローバルラジオシティです。

シーンの各点は、太陽と空から、および環境(空と周辺のオブジェクト)から光を受け取ります。さまざまな照明モデルは、環境からの光量を見積もる方法にその違いがあります。



設定説明
全体的な周囲の環境 すべての方向の天空の色を考慮します。その結果、青い空に向くシーンの一部は青い光の影を帯びます。一方、赤い空に向く他の部分は赤い光の影を帯びます。
周辺光閉塞 スカイドーム上の各点を小さな光源と見なします。光線は、隣接するオブジェクトが光源を遮蔽していることを確認するために、これらの光源のそれぞれに向かってトレースされます。
グローバルラジオシティ 周辺光閉塞モデルとして影を伝播するのではなく、シーン内で光を伝播します。このモデルでは、光にさらされるオブジェクトは、サーフェスの光学的特性に従って、すべての方向でその光の一部を再放射します。このため、実際の世界で起きるように、光はシーン内で「跳ね返り」を繰り返します。その結果、シーン内の各点は、シーン内の他のすべてのオブジェクトからの光を受け取ります。
注記: ラジオシティ、明るさを含む材質、または周辺光の比率が非標準(60:40)の材質を使用している場合、拡散反射光により望ましくない照明効果が生じることがあります。これらの材質は、所望の効果を達成するために調整が必要な場合があります。
  • 間接的な天空光 - 各オブジェクトが受け取る天空光の量を評価し、シーン内の他のオブジェクトにキャストします。このオプションが選択されていない場合、天空光の間接的な寄与を計算するのではなく、周辺光の色が使用されます。
  • 間接大気 - 間接照明を計算するとき、シーン内のオブジェクトに雲から反射する光を考慮します。
  • 屋外用に最適化 - VUEは無限の屋外の風景のレンダリングを仮定します。このオプションでは、間接的なラジオシティ計算の順序が低くなっていて、間接光の寄与度が効果的に無視されます。このため、より高速で堅牢なレンダリングが生成されます。
  • アルベドスケール - アルベドは、サーフェスが受け取る総日射量のうちの日射の拡散反射の度合です。これは、サーフェスの拡散反射強度に対応します。アルベドスケールを使用すると、シーン内のすべてのサーフェスの拡散反射率をグローバルに拡大/縮小することができます。
注記: 物理的に正しいレンダリングの場合、アルベドスケールは100%に設定する必要があります。これにより、入力反射率の値がシェーディング時に縮小されないようになります。これは、物理的に正しい方法で一般的に校正されるPBRの材質を使用するときに特に重要です。
高度な効果品質 間接照明の設定をカスタマイズして、シーンで間接照明の評価方法を微調整することができます。
注記: このセクションの設定値は、プリセットから変更する必要はほとんどなく、これらの設定値を使用して微調整を試みる前にプリセットを使用することをお勧めします。
  • 間接照明サンプル - シーン内の各点で間接照明を評価するために処理される、通常の照明サンプル数を制御します。
  • 高調波距離品質 - 画像内の点の近くにあるオブジェクトまでの距離をVUEが評価する方法と、この距離が間接照明の評価に影響を与える方法を制御します。
  • 調整品質 - VUEが空間内の異なる照明サンプルの配置を評価する方法と、この配置が間接照明の評価に影響を与える方法を制御します。
  • 連続性品質 - VUEが空間内の異なる照明サンプルの方向を評価する方法と、この方向が間接照明の評価に影響を与える方法を制御します。
  • コントラスト品質 - VUEが光源と材質の異なるソース間のコントラストを評価する方法と、このコントラストが間接照明の評価に影響を与える方法を制御します。
  • 揺らぎ - 空間内での照明サンプルの分散方法を制御します。リストには次の2つのオプションがあります。
    • 脈動を低減 - アダプティブサンプル間接照明を使用して、アニメーションの典型的な低周波脈動を減らすようにサンプルを分散します。このオプションは、アニメーションを作成するときに特に有用です。
    • 標準 - シーン全体の照明サンプルのより適切な統計的な分布を保証します。
  • バケットサイズ - 間接照明の評価のための基準グリッドを制御します。バケットごとに少なくとも1つのサンプルが用意されています。バケットサイズを小さくすると、間接照明の評価の精度は向上しますが、レンダリング速度は大幅に低下します。
  • サンプルを表示 - 有効にすると、間接照明が評価される点が、最終的な画像で赤みがかったピクセルとして表示されます。
  • 適応サンプリング - 有効にすると、VUEはいくつかの複雑な基準を使用して、間接照明を評価する頻度と精度を評価します。無効にすると、各サンプルで間接照明が完全に再計算されます。これにより、レンダリング時間が非常に長くなるため、適応サンプリングを無効にしないことを強くお勧めします。
間接照明 「カスタムのラジオシティフォトンマップ」オプションを使用すると、ラジオシティの評価とレンダリングに使用するフォトンマップを制御できます。


  • ラジオシティフォトン - ラジオシティの照明を評価するためにシーンに送信されるフォトンの合計数を制御します。
  • 最大フォトントレーシングレベル - この設定は、シーン内での光の跳ね返りの回数を制御します。値を大きくすると、ラジオシティの照明がより正確に評価されますが、処理時間も長くなります。
  • フォトン収集の数 - この設定は、各点での照明の評価に使用されるフォトンの数を制御します。
  • 最大収集半径 - この設定は、ラジオシティの照明の計算でフォトンの影響が無視される手前のフォトンまでの最大距離を制御します。
「カスタムのコースティックフォトンマップ」オプション このフレームの設定値は、ラジオシティフォトンマップフレームの設定値と同じですが、ラジオシティフォトンマップにではなく、コースティックフォトンマップに適用される点が異なります。